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「良い子だねぇ、可愛いねぇ」
後ろに倒れた耳が少しだけ反応した。耳のすぐ側ではうーにゃんが口を動かしているらしくてくすぐったい。手を伸ばすとお口でもひもひされたのがわかった。
「羨ましいんでしょ〜丑嶋〜」
「別に」
「まあまあ、おいでおいで」
促すと隣に寝転がる。肩でかいな。うっとりしたままのうーみんを撫でながらそっと持ち上げ、丑嶋の胸にゆっくり下ろす。一度目を開けたうーみんはそのままうとうとと首を伸ばした。んふふふ、可愛いだろう。丑嶋、にやけてるもんね。うさぎの前でしか見られないやつね。
「うさぎ、あったかいよね。生きてるって感じする」
「あぁ」
「皆元気なのは丑嶋のお世話の仕方が良いんだろうな〜よしよし」
「おい」
短く切り揃えられた髪を撫でると嫌そうな顔をした。何でさ。しかし、身動き取れない今がチャンスだろう。短い頭髪の手触りを楽しんで揉み上げをなぞる。ピアスを突くと睨んでくる。怖。髭をなぞると心底嫌そうな顔をしてくる。
「髭チクチクしないの?」
「しねェよ。やめろ」
「ほーん」
そのままうーみんの頭を擽って、よいしょ、と体勢を変え丑嶋の腹筋に頭を乗せる。
「かったいな寝心地悪っ。うーみんそんな固いとこでよく眠れるなぁ」
シャツ越しの腹筋はガチガチである。しかも熱い。筋肉量だなこれ。案の定うーみんの耳が僅かに立ってくあっとあくびしたのが小さな後頭部だけでもわかった。丑嶋がにやけている。あくび、正面から見たかったな。うーみんは少しだけ伸びをすると丑嶋の胸からぽとっと転がり落ちる。可愛い。暑かったのかな。
「おい」
「うえっ怖っ」
がしっと顔面を掴まれる。いや掴み方さ。手もでかいな!
「調子に乗りましたごめんなさい」
「謝るンなら最初から調子に乗るな」
「あれ?私今取り立てされてる?」
丑嶋が起き上がったと同時に後頭部を床に打ち付ける。いっっったい。うさぎへの優しさの10分の1くらいは見せてほしい。そんな私に再びうーみんが寄ってきた。めちゃくちゃ可愛いな。丑嶋はそんなうーみんを抱き上げると後頭部の痛みに悶えていた私の胸の上に乗せた。
「え?」
「次花厳の番ね」
「いや待って?」
丑嶋の手が私の額を滑る。うーみんは相変わらず私の胸の上が気に入っているようで動かない。丑嶋の指が耳殻に触れるか触れないか、曖昧になぞっていく。情事を思い出してぞわぞわした。
「丑嶋やめて?」
「聞こえねェーな」
「くすぐったいって、ひっ」
つい、と首筋を引っ掛かれた。うーみんにも鼻先で顎を擽られる。ダブルでこそばゆい。そんな私を見下ろす丑嶋はうーにゃんを抱き上げると私のお腹に乗せ始めた。
「え?」
「落としたら罰ゲームね」
「いや、ちょっと!?いやいや!」
みるみる内にうさぎに埋もれていく。あ、ちょっと幸せかもしれない。あったかぁい。
「顔面はやめて顔面はアーッ」
うーたんに埋もれる。苦しい。でも幸せ。不思議な感覚だ。モフモフに包まれて全く何も見えない中、パシャパシャと音が聴こえた。こいつ、撮影してやがる!顔面に乗っていたうーたんがぴょんっと跳ねた。
「あっ」
「はい落とした」
「いや無理ゲーでしょ!っていうか撮ったな!」
「戌亥に送った」
「やめて!?」
すぐさま返信が来たらしい。丑嶋が向けた画面には"ウケる"、と三文字。ウケねーよ!!
「じゃあ罰ゲームね」
「今のが罰ゲームじゃないの!?」
「どこが?」
「辱しめられてるじゃん!」
「あっそ。辱しめて欲しいンだ?」
丑嶋が口角を上げた。ヒエッ。大きな手が優しくうさぎ達を床に下ろしていく。うーみんが下ろされて、体の上からうさぎがいなくなってから丑嶋が私を担ぎ上げる。嘘でしょ。向かう先が明らかに寝室で、さあっと顔から血の気が引いていく。
「ごめんって……」
「何が?」
「せめて優しくして……」
「だめだ」
「今のトーン怖いから!社長トーンやめて!」
「明日休みで良かったな」
「えっ、そんなに……?」
呟いた言葉さえ無視されてしまった。マジか。
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