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「確かに超能力だな」
浮遊するペンを見て霊幻は頷く。強弱の違いはあるかもしれないが茂夫と変わらない能力。そうそうお目にかかる事はないであろう超能力者という存在がオフィスに二人。それも同じ中学生だ。溌剌とした少女、花厳はペンを霊幻の胸ポケットへと戻した。精度も悪くない。そうそう自分と同じ超能力者に出会う事はないのであろう弟子の茂夫はまだ大人にはなりきれていない出会った頃の幼さを窺わせる表情で花厳を見つめている。
「モブ、お前は先輩になるわけだから色々教えてやれ」
「えっ!?あっ、はい」
「花厳ちゃんには俺とモブの補助をしてもらおうと思う。が、まだ仮採用といったところか。これからの働きを見させてもらおう」
「よろしくお願いします!」
「これから予約が入ってるからお茶汲みからだな。モブ、頼む」
にこにこと愛想良く頭を下げた花厳につられて茂夫も会釈をする。オフィスのドアがノックされる音にネクタイを締め直した霊幻は依頼人を中へと促した。
茂夫に連れられてやってきた給湯室は人二人が立ってやっとくらいの広さで小さなシンクにケトルと電子レンジが置かれている。
「これが、お茶。お湯は沸いてるから……」
「これに注いでいいの?」
「うん」
茂夫がこのくらい、と入れた茶葉の上から急須にお湯を注いでいく。戸棚にある湯呑みの内の二つを手にした花厳は頃合いを見計らってお茶を淹れる。小さなお盆に乗せ給湯室を出て、依頼人の前で軽く一礼してからお茶を二つ並べた。
『あ、どうも』
「……え?」
「え?」
霊幻の向かい、依頼人の前とその隣。オフィスにやってきたのは二人ーー花厳が見える限りは、だ。いるはずのない、これから相談しようとしていた霊の気配に依頼人が悲鳴を上げるまであと三秒。
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「あのなあ、依頼人怖がらせてどうするの。そういうのを解消するのが俺らの仕事よ?」
「ごめんなさい」
「モブがすぐ除霊したからいいけど……何、見えてたの?」
「ばっちりです」
「ばっちりですじゃなくてだな」
それとなくモブに確認すると結構しっかりした霊らしい霊だったらしいが花厳にはそんな事お構いなしだったらしい。霊をもてなす必要がないという事を彼女はよくわかっていないようだ。
「そんなに霊感強いんだ」
「霊幻さんも見えてるんですか?」
「バッッカ俺をなんだと思ってるんだ。まあ俺は弱い、低級霊なんかは見えないようにスイッチを切ってるからな?」
周りに影響及ぼしちゃうから。背中にじっとりと嫌な汗をかきながら何でもない顔で言う霊幻に納得しているのかしていないのか、花厳は小さく頷く。
お茶汲みはちょっと、花厳ちゃんにはしばらく無しで。そうしよう。
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