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「だぁから、金出せって言ってんだよ」
「持ってないです」
「持ってないなら家にあんだろ?持ってこいよ!」
「痛い目見たくなきゃあとっととグオッ!!」
こういうところを直せ言われたのだと花沢の顔を思い出す。それが少し腹立たしい。こういう時、私にはこの解決法しか思い浮かばないのだ。
勢いをつけた私の飛び蹴りに吹っ飛んだ高校生の馬鹿一人に、もう一人が焦った顔をした。
「お前!?御笠守!!」
「目障り」
「ンだとォ⋯⋯!?」
「いってえ⋯⋯!」
「高校生にもなって中学生にタカるなよ。ダサい」
「ああ!?」
向かってきた相手の拳をしゃがんで躱し無防備な顎に掌底を叩き込む。ぐらりと揺れた高校生はそのまま後ろに倒れた。白目を向いて気絶している仲間に恐れ慄いたのだろう、もう一人が引き摺りながら逃げていく。こういうパターンはもう三回目なのに全く学習能力がないらしい。はあ。帰ろう。
「あ、あのっ」
「ん?」
絡まれていた男子生徒と目が合う。重く切り揃えられた前髪から覗く目元からは感情が読みにくい。
「ありがとう、でも⋯⋯喧嘩は危ないよ」
「お前もか」
「怪我するよ。女の子なのに」
「その女の子に助けられたのはそっちね。それなら自分で⋯⋯ああ、余計なお世話ってこと」
「えっ、いや、その⋯⋯ごめん」
「はっきりしないな。私が目障りだと思っただけだからやっただけ」
少し汗を滲ませながら小さな口がきゅっと結ばれるのを見て彼にとって私のような人間は苦手なタイプなのだろうと悟った。日頃の行い故にこういう反応は慣れている。家に着く頃には何時だろうか。帰りにスーパーに寄った方がいいかもしれない。そんな事を考えながら、私は走る。
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