逃避行



「ヤバイ事になった」というのはお前の声色でよくわかるよ柄崎。心底慌てている柄崎じゃいまいち状況が掴みにくかったけれど、電話の主が低い声に変わる。

「花厳。今すぐどこかに身を隠せ」
「丑嶋?お前ら無事なの?」
「ああ。詳しい事言う時間はねえ」
「わかった。柄崎にはお前の母ちゃんは私がいるから大丈夫って言ってて」
「ああ」
「終わったら連絡しろよ。生きて返ってこいよ」
「ああ」

柄崎のおばさんは先に柄崎から話を聞いていたらしく、ほぼ着の身着のままで通帳やら印鑑やら貴重品だけを引っ付かんできた私とは違いしっかり準備ができていて。そこからタクシーを何度か乗り継いでたどり着いた先の三日目で無断欠勤していたことに気付いたのであった。




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