15_お揃いは許さない
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「テメッ…!!!!!」
「ひぃ!」
「なんちゅう破廉恥な格好してやがんだァ馬鹿娘がァア!!!!!前閉めろォオ!!!!」
新調した隊服を身に纏ったなまえの姿を目にした瞬間、全身の血管がブチ切れそうなほど怒りの感情が巡った。
剥き出しの胸筋で風を切りながら瞬時に詰め寄ると、なまえの顔がさあっと青ざめる。
青ざめる前に自分の格好を恥じろ、嫁入り前の娘が肌晒しやがって。冨岡の阿呆に見られでもしたらどうする、いや冨岡以外の男だろうとこんな姿を見させてたまるか。
言いたいことは山ほどあるが、まずは晒された肌を隠すことを優先しなまえに掴みかかる。
「し、師範!!」
「くっそなんで閉まんねえんだよ布足りてねえ寸法合ってねえだろォオ!縫製係どこの何奴だブチ殺してやらァアアア!」
「いや師範ちょっと落ち着いてください師範!あの!」
「なんだうるせェ破廉恥娘が!自分の格好考えやがれェ!!」
「こんな格好だからです!!師範!!この状況は流石にちょっと!!」
あまりにも必死ななまえの声に、一度全ての動作を止めた。
きゅう、と目を瞑り眉を寄せ恥ずかしそうに顔を赤らめるなまえが、俺の羽織の袖口を弱々しい力で掴んでいる。
呼吸に合わせて上下する白い胸。俺がぎゅうぎゅうと隊服を手繰り寄せていることによってくっきりと強調された谷間。両手に伝わる柔らかい感触。
いつだったか茶屋で背中に抱き着かれたときも思ったが(※7話参照)結構あるなコイツ。
「じゃねェエエエエエエエエ!!!」
自分が何をやらかしていたのかをようやく悟り、弾けるようになまえから距離を取る。
俺は自分の継子になんてことを。冨岡に対しあれだけ侮蔑の念を抱いていながら、俺は。
「悪かった……」
両手に残る感触がやけに生々しい。それが余計に罪悪感を増大させる。
がくりと膝が崩れ落ち、俺は両手の感触を消すように硬い玉砂利に掌を押し付け、項垂れた。
「なまえ、俺を五回殺せェ」
「無茶言わないでください!」
なまえが慌てて俺の腕を掴んで立ち上がらせようとする。
いや今触るな。逆効果だ。
というか怒れ。せめて殴るぐらいしろ。
「私のためにしてくださったことですし…それに他の男の人に触れられるのは嫌ですけど、師範は嫌じゃないんで。」
困り顔で微笑みながらそう言う質の悪い天然娘に目眩がした。
俺は自分の頬を自分で殴った。
縫製係の奴は漏らすまでシメた。
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