4.転校生ですどうも

時刻をみた幼馴染2人は慌てて俺を連れ出して学校まで走った。そして話は冒頭にまで遡る。


「転校生を紹介する」

  職員室で手続きをして、先生と他愛ない話をしながら教室まできた。「実は私1回でいいから転校生を紹介したかったんだ」と俺よりもウキウキしてる先生に顔が引きつってしまったのは仕方がないと思う。ウキウキした先生が先に教室に入って俺のことを手短に話したようで、廊下からも聞こえる程に生徒がざわついていた。その間廊下でぼけーと待っていると中から「入ってきなさい」と言われる。う、わー!! これぞ転校生っぽい。あれだろ、俺が入った瞬間ざわつくんだろ! ひぇー晒しもんじゃねーか。そんな思いを胸に抱きながらいざ行かん。


「はい、自己紹介して」
「どうも秋野真緒です」

 黒板に自分のフルネームが書かれるのは凄く違和感。入ってきた時同様に教室内はざわつくけど、まぁお約束ですよね。年頃の子たちだかんねぇとやっぱり自分が若返った感覚がイマイチない。担任曰く、俺は夏休みにこっちへ引っ越してきたらしい。へぇ、そうなんだ、思わぬところから自身の情報を得たのでありがたくインプットしておく。
担任の「えー、みんな秋野と仲良くするように」とだけ言い、俺に一番後ろの窓際に座るよう指示した。何気に特等席。スタスタと自分の席に向かう時に人のチェックをしておいた。うんうんやっぱり蘭ちゃんに新一クン、園子まで一緒なんだね。俺の視線に気づいた園子は軽く手を振っている。おいおい、怒られんぞー。


「高校生か」

 机に向き直り真新しい教科書をカバンから取り出す。なんでまた高校1年なのかねぇ、原作すら始まっていませんが?! せめて高校2年の春とかが良かったです。ちなみに今は10月上旬です中途半端! 授業を受けながら俺はこの世界の時間軸を整理をするためにルーズリーフの端にメモをする。あと半年もすれば原作が始まるから、それまでに俺がすべき事とかあるのかな? 元々俺の存在はココに、あったようだし(俺の知ってる名探偵コナンには存在しない)まぁ、適当にやっても大丈夫そうだよな。ってか、殺人とか絶対関わりたくないし平凡に生きたいから本当もう勘弁してください。神様、なんで俺を彼らの幼馴染にしたんですか。


「ねー、転校生くん!」
「どこから来たのー?」

 うおおおっ。もう終わってんじゃん。うんうんと唸っていたところ近寄ってきた女の子たちに囲まれる。いつの間にかSHRは終わっていた。してもお約束だねぇ、転校生を囲む女の子集団。とりあえずこの先も適当にそつなく生きていきたいから適当に笑っとこ。


「京都からだよ」
「そうなんだ!じゃあ東京の事はあんまり知らないかんじだよねー」
「良かったら放課後案内するよー?」

 放課後ひまー? と誘われてしまいました。学生がナンパですかちくしょう。最近の若者はする事が早いねぇ! 正直面倒だから断りたいのだけども、初っ端から断るのも凄い空気の読めない奴みたいだし、ここでは適当に平凡なキャラでいたいからなぁ……どうやって断ろうか。


「そいつ5年前までココ住んでたから問題ねーよ」

 俺の席にきた新一クンが俺を指さして言う。ナイス新一クン!! でもね、俺は東京初めてなんだ! 土地勘0だよ! 何とか新一クンのフォローのおかげで女子達をかわせました。チャイムが鳴ってみんなが席に着き始めた頃、小声で新一クンにお礼を言う。


「さんきゅ、新一クン」
「おー」

 やる気のない返事が返ってきました、こういう時だれかと知り合い設定だとうまく事が進むんだよね、学びました。でもさっすが新一クンだね。授業始まって真っ先に寝るくらい不真面目なのに何でそんなに賢くてモテるんだろーか。原作1話目でたくさんのファンレターを見せびらかしているのを、思い出して苦笑いする。あの現場を実際にこの目で見ることができるのはコナンファンとしてはうれしいことだけれども。母さんが揃えてくれた教科書とノートを開けてペンをくるくると回す。さぁ、今日は1日これからの事について考えようかな。


(すかー)(爆睡かよ!)

 
back両手で掴んで
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