「我々の作戦が成功するまで大人しくしておいてくれ」
そう言った青髪の男の人はニャースの元へ戻るとパソコンをいじり始めた。
私達はかろうじて椅子のようなところに座らされた。しかしロケット団からは丸見えの位置にあり何かしようにもできない。
「ねえねえ、あいつら何してるの?」
「メガシンカを何か悪いことに利用しているんじゃないかな」
「それが分かっててどうして…」
「ああ、確かにそうだけど。ただ君たちの命には変えられないからね」
『博士…、ありがとうございます』
博士は眉を下げて優しく笑った。
ロケット団が博士から奪ったメモリーをダウンロードしている様子をただ見ているだけで、とてももどかしい気持ちになる。
その時、空き缶が倒れる音がした。音のする方へ視線をやるとそこにはさっきのハリマロンがいた。
「「「『…ハリマロン!?』」」」
頭をかきながら、苦笑いするハリマロン。ハリマロンがここにいるって事はもしかして、と少しだけ期待する。
「突入だあ!」
そうシトロンの声が聞こえると、入り口からサトシとシトロンが入ってきた。2人が助けが来たことで強ばっていた緊張が少しだけ解ける。
「みんなを返せ!ロケット団!」
サトシがそう言うと、ロケット団はさっきセレナとユリーカがポーズを決めた時と同じ台詞を言い始める。
「みんな、大丈夫か?」
「ユリーカ、ナマエ。怪我はないですか?」
彼らの台詞とポーズをまじまじと見ているとサトシとシトロンがこちらへ来て、巻かれていたガムテープを剝がしてくれた。
私はようやく自由になった手足を確かめるようにぐーぱーと手を動かした。
「さあ、みんな脱出だ!」
「そうはさせないわ!」
「ダウンロード完了なのニャ!」
すると喋るニャースがひょこひょこと奥に置かれている大きな布の被った何かの中に入っていった。
その何かの上部がピカッと光が付いて不気味な雰囲気が漂う。
「さあ、見るがいい。メガシンカの能力をプログラム化して組み込んだメガシンカよりさらに進化した、メガメガシンカ!」
「その名もメガメガメガメカニャースよ」
「プログラム起動!」
コジロウがパソコンのEnterボタンを押すと、ふわりと布が取れる。不気味な何かは巨大なメカニャースだった。
メカニャースはまた目から怪しい光を放つとゆっくりとこちらへ進行してきた。
「おお、Marvelous!なんて力強い!」
「敵ながらなかなかの発明品!わくわくしますね!」
「もう、2人ともそんな関心してる場合じゃないでしょ!」
『とにかく今は逃げなきゃ!ほら、行くよ!』
関心している博士とシトロンにツッコミを入れるとメカニャースから逃げるように走り出した。
メカニャースは止まることなく、アジトの入り口の壁を壊して外まで追ってきた。
すると一番最後尾で逃げていたハリマロンが小石に躓き転んでしまった。手に持っていたバスケットからマカロンが散らばってしまう。
それを1つ1つ取っているとメカニャースが、すぐ潰されるところにまで来ていた。
ハリマロンが危ない、皆がそう思い足を踏み出すよりも先にシトロンがハリマロンの所へ行っていた。
『シトロンくんっ!』
ハリマロンを抱きかかえたまま、ずさっとスライディングしたシトロンはアジト入り口にある瓦礫の方に消えた。
「ナマエ、危ないぞ!」
ハリマロンを助けたシトロンの安否を思うにも目の前のメカニャースが襲ってきたため、それすらできない。
サトシがピカチュウに指示をしてメカニャースに攻撃をするものの、一切効いておらず逆に与えた攻撃が反射で返ってきてしまった。
ピカチュウはかなりのダメージを食らっていて、メカニャースのアームがピカチュウを捕らえようとする。
それを阻止するためにサトシがピカチュウを抱きかかえて逃げるも転んでしまった。そしてアームがサトシたちに伸びたその時、動きが止まった。
「ふふふふっ」
『シトロンくん!よかったあ…』
入り口に大きなコンセントを持ったシトロンとハリマロンが現れた。しかしメカニャースはすぐに予備電源に切り替えると攻撃態勢に入る。
「すみません、ご心配おかけしました。しかし予備電源とは敵ながら抜かりありませんね」
私たちとメカニャースの間に戻ってきたシトロンとハリマロンは息を合わせてメカニャースにミサイルばりを打った。
「だめだ、効かない…」
ハリマロンの攻撃もメカニャースの前では全く効かないようで、ボディに傷1つ付けられなかった。
体当たりも試してみるも同様に効いている様子はなかった。
「ハリマロンじゃパワー不足だ…」
「ニャッハッハッ。全然効かないのニャ」
しかしハリマロンは諦めることなく体当たりを続ける。ピカチュウもでんこうせっかで応援に加わるも弾き返されてしまう。
「今のニャーには2体できても勝てないのニャ」
そう言ってメカニャースがまたアームを2匹へと伸ばそうとした。
その時、赤い炎に包まれた何がメカニャースに攻撃をした。