「プクリン、お願いね」

ジョーイさんがそう言うと、プクリンはコフキムシを乗せたカートと共に治療室へ入る。
その後に「もう大丈夫ですよ」とジョーイさんか声をかけてくれた。何とかポケモンセンターにも着いたし、一安心だ。
ふう、と息をついているとジョーイさんが私達に声をかけた。

「あのコフキムシはこの地方のコフキムシではありませんね?」
「え、そんな事が分かるんですか?」
「ええ、これを見てください」

ジョーイさんはモニターに視線を向けた。そこにはたくさんのビビヨンが映し出されていて、その1匹1匹が羽の模様が違っていた。

「ビビヨンは地方ごとに羽の模様が違うんです。この他にももっと色んな模様があるんですよ」
「すごーい!」
『どれも綺麗。いつか、全ての模様のビビヨンのスケッチを描いてみたいな…』

ビビヨンの羽の模様が地方によって違うのは知っていたけど、ここまでたくさんあるとは思っていなかった。何種類いるんだろうか。
いつか自分の目でこれらのビビヨンたちを見たい、スケッチしたい、そう思うととてもワクワクした。

「だから、コフキムシにも微妙な違いがあるんです。…ところで、あのコフキムシはどこで見つけたんですか?」

コフキムシにも違いがある、と言ったジョーイさんの笑顔は消え私達を怪訝そうな目で見つめた。違う地方のコフキムシを助けたいだけなのに、疑われるものなのかな。

「観念しなさい!」

サトシが事情を話そうとしたとき、手にロープがかけられた。振り向くとジュンサーさんがいた。その横には威嚇体制をとるライボルト。

「動かないで!無駄な抵抗をすると逮捕するわよ!」
「もう捕まえてるじゃないですか!」
「見てたのよ!奪われたコフキムシを持っていると言うことは、貴方達もポケモンバイヤー"ダズ"の仲間でしょ!」
「ポケモンバイヤー!?」
「違いますよ!」
「僕達はジュンサーさんの手助けをしたくて後を追っていたんです!」
「そしたらケージが落ちてて、あのコフキムシが…」
『かなり弱っていたのでポケモンセンターに連れてきていただけなんです!』

ジュンサーさんはどうやら私達が悪者の仲間だと思っているようで、必死に弁明する。

「と言うことは」
「コフキムシはポケモンバイヤーが落としていったもの」
「ええ、おそらくは」
「…ごめんなさい。私、思い込みが激しくてすぐこういうミスを」

サトシがやった訳ではないと分かると、ロープはすぐに放されてジュンサーさんは謝罪をした。
紛らわしいことをしてしまった私達も私達だ。ジュンサーさんだけが悪い訳ではない。だけどロープで引っ張ったりワイルドなジュンサーさんだ。
すると治療完了の警戒な音楽が流れ、プクリンに連れられてコフキムシが治療室から出てきた。

「コフキムシ、元気になりましたよ」

笑顔で鳴き声をあげるコフキムシは先ほどとは大違いで、元気になっていた。

「コフキムシ!」
「良かったあ〜」

私達はコフキムシに駆け寄る。どうやらもう敵意はないらしく、ゆらゆらと揺れたり飛び跳ねたりしている。

『ジュンサーさん。コフキムシのことも含めて事情を聞かせてもらえませんか?』
「このコフキムシがカロス地方のコフキムシでないということも気になります」
「ええ、分かったわ」

こうして私達はジュンサーさんから事情を聞くために、ポケモンセンターにあるソファ席へと移動した。

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