「ところで、さっきジュンサーさんが言ってたポケモンバイヤーって何なんですか?」
「世界中にいるポケモンコレクターのために各地でポケモンを捕獲し、ネットで売り捌く悪い奴らの事よ」
「ポケモンを捕獲して…」
「ネットで売り捌く?」
『ひどい…』
「ええ。ダズはその中でもビビヨンを専門とするポケモンバイヤーで、各地のコフキムシやコフーライを大量に捕獲しているの」
「じゃあ、そのダズって人のアジトにはその捕まえたコフキムシやコフーライたちが…」
「ええ、大量に閉じ込められているはずよ。そしてビビヨンに進化すると高値で売り捌くの」

ジュンサーさんの話を聞いて気分が悪くなった。珍しいビビヨンの柄が欲しいコレクターもコレクターだけど、バイヤーもバイヤーで乱獲してお金を稼いでいる。まるでポケモンがモノみたいな扱いだ。
望まぬ形で誰かの所有になるよりも、野生のままのほうがビビヨンたちにとってもいいはずなのに。私はぎゅっと拳を握った。

『…私、許せない』
「あたしも!」
「僕もです!」
「私もよ」
「なんていうやつだ!俺も許せない!」

みんな、私と同じ気持ちだったみたいだ。サトシなんてぎゅっと拳を握りソファから立ち上がっていた。

「あら?その子落ち着きがないわね」

ジュンサーさんがコフキムシの異変に気づいた。私もコフキムシに視線をやる。
鳴きながら机の上でぐるぐると周ったかと思うと、コフキムシを白い光が包んだ。すぐ後、光の中からコフキムシ…ではなくコフーライが現れた。
セレナがコフーライに向けて図鑑をかざした。コフーライの説明が流れる。

「あたし、目の前で進化見たの初めて!ねえねえ、せっかくだから進化について詳しく教えて!」

ユリーカがキラキラした目で興奮気味にそういった。

「それなら俺に任せろ!いいか?進化って言うのはな、ピカーッと光ってバーンっと変わってオオオッってなる事を言うんだ。分かったか?」
「全く分かんない」

ドヤ顔でそう説明するサトシに、そういえばサトシは本能と感覚タイプだったことを思い出した。それだとユリーカには伝わらないよサトシ…。

「僕の出番のようですね!ポケモンの中には一定の条件が揃うと別の形になるものがいて、それを進化と呼びます」

眼鏡を光らせて、楽しそうに喋るシトロン。こう言うのはシトロンくんの得意ジャンルだし、とっても分かりやすく説明してくれた。

「進化にはいくつかバリエーションがあって、最もポピュラーなのがビビヨンのようにある程度まで育つと進化するパターンです。他にも幾つかの進化があって、ピカチュウからライチュウへの進化するには雷の石が必要なんです」
「へえ〜、進化ってなんか神秘的!」
「うんうん!ポケモンてまだまだ知らないことがいっぱいだ!」

シトロンの説明を聞いていると、ロゼリアがスボミーから進化した時の事を思い出した。

私がホウエン地方をひとり旅して最初の方だった。まだポケモンもスボミーしかいなくて、不安いっぱいだったとき野生のラクライに襲われた。
なんとかバトルをするも経験の浅い私とスボミーだけでは太刀打ちできなかった。ラクライはスボミーがもう戦えないと判断すると、私に襲いかかろうとする。
その時だった。スボミーを白い光が包見込むと、光の中から赤と青の花びらが舞い上がってラクライに向かって攻撃をした。
ラクライはそれにびっくりして逃げ出し、私達は九死に一生を得た。そして光の中から出てきたのはスボミーではなく、ロゼリアだった。
後からパパに聞いたら、スボミーの進化条件はなつき度、つまりトレーナーへの愛らしい。
かなり前の事ではないはずなのにあの時の事が懐かしくて、ロゼリアの入っているボールを撫でた。カタカタと揺れ、ロゼリアが返事をしているみたいだった。


「ま、俺が言いたかったのはそういう事だ!」
「ほんとにぃ〜?」

サトシがドヤ顔でぼふんとソファに座る。サトシが説明したわけじゃないのにね。私はふふ、と笑ってしまう。

「シトロンのおかげでよく分かったわ」
『流石、シトロンくんだね』
「それほどでも〜、ありますけど!」

サトシ同様、シトロンもドヤ顔をしていた。男の子って褒められるのが好きなのかな。サトシの場合は何もやってないけど。

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