「ん?コフーライの体に何かついてますよ?」

シトロンがコフーライのお尻の方に光る何かを見つけた。私達もよーく見てみると確かに小さい何かが光っている。

「ほんとだ。何かしら?」
「調べてみます!」

虫眼鏡を取り出したシトロンはその小さな光る何かに当てた。

「どうやらこれは電波を発信するチップのようですね」
「電波を?でも、なんで?」
「そうか!ダズは捕獲したポケモンが逃げ出した際に追跡できるようこの発信装置を付けていたのよ」
『ここにコフーライがいる事は把握されてるかもしれない』
「じゃあ、もしかすると近くに来てるのかも?」
「その時は俺がとっ捕まえてやる」

発信装置が付いていて、ダズがコフーライの場所を把握している。もしそうだとしてもポケモンセンターにいるなら簡単には手出しはできない。しかしこちらもダズの居場所が分からないから捕まえることもできない。
するとコフーライはサトシに向かって何かを訴えた。

「どうした?」
「心配なのかも。このコフーライの仲間はまだ捕まったままだから」
「お前は仲間を助けたいんだな?」

サトシがそうコフーライに聞く。コフーライは勢いよく頷くとサトシの肩に乗った。仲間思いの優しい子だ。

「いい事思いついたわ!ダズに囮を回収させてそのチップが発信する電波をつけていけば、奴のアジトを突き止めることができるんじゃない?」
「そしたら捕まったポケモンたちも助けられるな!」

セレナの作戦になるほど、と思った。シトロンくんなら発信装置の逆探知なんて朝飯前だろう。

「良い作戦ね。でもそんな事ができるの?」
『ジュンサーさん、大丈夫です!うちには素晴らしい発明家がいるんですよ。ね、シトロンくん?』
「またまた僕の出番のようですね!」

私はジュンサーさんにそう言うとシトロンくんに視線を向けた。ソファから勢いよく立ち上がったシトロンくんはリュックから何か装置を取り出した。

「ふふふ、サイエンスが未来を切り開くとき!シトロニックギアオン!このような局面を想定し、準備していたナイスなマシン!名付けて"全方位対応型電波探知マシン"!」

いつもより完成度の高い装置が出てきて、みんな期待をする。
もうすでに用意してあるなんて、さすがシトロンくんだ。

「あらかじめ、この発信チップの電波を記憶しておくことで何処にいても位置や方位を特定できます!スイッチオン!」

シトロンはコフーライについていた発信チップを装置にはめ込み電波情報を読み取らせたあと、逆探知ボタンを押した。すると画面には赤い点が映し出されていて、チップが放つ電波で位置情報が確認できた。

「おおー!科学の力ってすげーな!」
『さすがシトロンくん。今回は大成功だね』
「ふっふっふ、それほどでも」

私が褒めると照れ気味に頭をかくシトロン。これでコフーライの仲間を助けることができる。

「あ、でもダズが落としたのはコフキムシでしょ?コフーライに進化しちゃってるよ?」
「大丈夫よ。コフーライについているチップを見たダズは自分の落としたコフキムシが進化したと思うはずよ」
「むしろ問題なのはコフーライね。囮でまた危険な目に合わせるのは、ちょっと」
『確かに。何されるか分からないもんね…』

セレナの言うとおりだ。またコフーライを囮にするのは危険すぎる。相手はポケモンバイヤーだ、コフーライの変化に気づいて逃げられたりしてしまったら仲間どころかコフーライすら助けれなくなってしまう。

「囮なら俺がやるぜ」
「サトシ、超期待してますよ」
「ちょっと待った!私が考えた作戦よ、私がやらないでどうする!」

セレナは勢いよく衣装ボックスを取り出してウインクをした。

「よっ、変装の天才!」
『さすがセレナ!』

セレナの変装技術でコフーライに変装して囮をする。発案者のセレナはノリノリでボックスから衣装を出し始めた。


*


「こふっ、こふーっ」

グレーの被り物に白い布を纏いコフーライの鳴き真似をするサトシ。変装と演技は完璧だった。
だけど、人間のサイズなのでコフーライにして大きすぎるのが問題だ。

「確かに、上手く変装できたけどちょっと大きいわね」
「それにコフキムシが囚われていたケージにも入りませんし…」
「じゃあ、デデンネに変更よ!」

そうしてデデンネに変装させるも、本物のコフーライのサイズの半分くらいの大きさしかなかった。

「でも、今度は小さすぎね」
「じゃあ、僕のハリマロンはどうですか?」
「私のロゼリアも大きさは同じくらいなはず」

次はシトロンのハリマロンと私のロゼリアを変装させる事になった。
お互いにボールから出すと、ハリマロンはロゼリアが気になるようで嬉しそうに話しかけている。
しかし、ロゼリアはマイペースなのかハリマロンに興味がないのか見向きもしなかった。
ロゼリアに見向きもされなかったハリマロンは落ち込み気味に床を見つめる。振られたのがショックなのかな。
ハリマロンってミーハーというか色々と目移りしそうだけど、案外ロゼリアの事が好きなのかもしれない。

そして、ロゼリアとハリマロンの変装が終わって2匹が並ぶ。2匹ともコフーライとサイズはほぼ同じだった。
だけど、ロゼリアは両手の花のボリュームが布越しに分かるくらい盛り上がっていた。

『サイズはぴったりなんだけど、ロゼリアは両手の花がちょっと不自然だね』
「確かに言われてみればそうかも」
「でも、ハリマロンならいけそうですね」

こうしてコフーライの囮はハリマロンに決まった。嬉しそうにコフーライのモノマネをするハリマロンに私は近づき、しゃがんで耳打ちをした。

『(もし、これでカッコイイ所見せれたらロゼリアも仲良くしてくれるかもよ?)』

私がそう言うと、目をキラキラさせたハリマロンは鳴いた。単純なのと同時にかわいいなあと思ってしまう。
横目でロゼリアを見ると選ばれなかったのが少しだけ悔しいのか、衣装をぽいっと捨てていた。
ロゼリア、それ、セレナのなんだけどね。

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