プリズムタワーに着くとジムの前には3人のトレーナーがいて、みんな怒っている様子だった。
シトロンが事情を聞くと、バトルに負けたあと電撃をくらい外に放り出されたらしい。
"こんなジム二度とくるか"と捨て台詞を吐くと3人はその場から去っていってしまった。

「厳しいだけではいいトレーナーは育たない…」
「パパが言ってたのはこの事だったんだね」
「どうするの?」
『このまま乗っ取られたままにはできないよね…』
「決まってんだろ。その変なロボットを止めようぜ」

ロボットを止めると言ったサトシに「でも、」と弱気な口調でシトロンは言う。

「音声コードが分からないと…」
『何か思い当たる事はない?』
「落ち着いて考えてみて?」
「でも、ご主人様認識バトルに勝てなければ…」
「そんなのやってみなきゃ分かんないだろ?」

すると弱気だったシトロンがサトシの1言によって食いついてきた。

「分かりますよ!シトロイドが使うのは僕のパートナーポケモンです。まだ未熟なホルビーだけじゃ勝てないのは明白!」
「勝てなくても思い切り相手にぶつかってみようぜ!俺、ロボットの事はよく分かんないけど。シトロンが作ったんなら、ぶつかって分かり合えることだってあると思うんだ」
「ぶつかって分かり合える…」

サトシの言葉にシトロンはハッと表情を変えた。

「ね、シトロンは何でジムリーダーになったの?」
「お兄ちゃんはね、ミアレシティでは電気タイプの天才児って言われてるんだよ」

「…僕は古今東西の電気タイプを極めたいと思ってジムリーダーになったんです。電気タイプ専門のジムを謳えばチャレンジャーはその対策を練ってきます。
でも、その上でそれを凌駕することができれば僕自身も電気タイプ使いとして成長すると思ったんです」

シトロンはジムリーダーになった理由を話してくれた。変わらず電気タイプが大好きで、真面目なシトロンくんらしい。

「じゃあ、その大切なジムを取り返さなきゃ」
「そうさ!シトロンを成長させてくれる大切なジムを取り戻すんだ」
『私にできる事なら何でもお手伝いするよ。ロゼリアの件のお礼もあるし、何よりキミを助けたい。』
「みんな…、ありがとうございます。シトロイドの所へ行きましょう!」

こうして私たちはミアレジムを取り戻すため、ジムのバトルフィールドまで行くことにした。


*


「バトルフィールドまで行けば、チャレンジャーとして認識するはずです。ここからジムの中に入れます、さあ!」

プリズムタワーの裏通路からジムのバトルフィールドに行くことになった私たちは、ダクトを通りジムのエントランスよりも奥の通路に出た。

「シトロイドがいるバトルフィールドまでは、あと少しです。頑張りましょう!」

その時、通路の奥からコイルが1匹現れた。シトロンのポケモンのようで、シトロンが声をかけると笑顔になって近づいてきた。
しかし、その笑顔はすぐに消えて私たちへ電気ショックを飛ばしてきた。

「わああ、コイルやめてください!」
「何で攻撃してくるんだ!シトロンのポケモンなんだろ!?」
「今となってはシトロイドがここの主ですから、侵入者を排除しろと言われているんです!」

逃げ続けても埒があかないのでサトシはケロマツを出してケロムースでコイルに反撃した。
その間に私たちはバトルフィールドに向かおうとしていた。すると目の前からレアコイルが現れ、金属音を出して私たちの邪魔をしてきた。

「フォッコ、お願い!ひのこ!」

レアコイルは3つの体を離して、セレナのフォッコの攻撃を交した。そして、電気ショックをしてくる体制に入った。
何とかしようと私は咄嗟に腰につけていたボールを投げた。それは慣れ親しんだロゼリアの入っているボールだった。

『ロゼリア、はなびらのまい!』

ロゼリアが両手の花を揺らして花びらを巻き上げレアコイルに向かって攻撃するが、レアコイルにはあまり効いていないようだった。

『あちゃー、やっぱり相性よくないよね。あはは』

ロゼリアの攻撃を受けたレアコイルはさらに怒ったような声を出して体に電気を溜めはじめた。まずい、そう思ったが間一髪、ピカチュウとケロマツが助けてくれた。

『ケロマツ、ピカチュウ、ありがとう!』
「ありがとう!助かったわ」

私たちがお礼を言うと2匹は嬉しそうに鳴いた。

何とかコイルたちを巻いた私たちは通路を抜け、またダクトを通りバトルフィールドまで来ることができた。
フィールドに入るとスポットライトが相手サイドを照らす。そこにはシトロンが言っていたロボットがいた。


「ようこソ、ミアレジムへ。」
「シトロイド!ご主人様認識バトルモード起動!」
「起動ニハ、音声コードガ、必要デス」

音声コードを思い出そうと考えていたシトロンは、シトロイドの頭部の傷を見てハッとした。

「今日からよろしくお願いします。僕はジムリーダー、シトロンです!」
「コードOK。ご主人様認識バトルモードを起動シマス」
「やったなシトロン!」

シトロイドの目が光り、ご主人様認識バトルモードになった。そしてシトロンとシトロイドはバトルフィールドに残り、私たちは観客席の方で見守ることになった。

『大丈夫、シトロンくんならきっと勝てるよ。頑張ってね』
「ありがとうございます。僕のジム、必ず取り戻します。ナマエはあちらで見ていてくださいね」

お互いモンスターボールを投げる。シトロンのポケモンはホルビー、シトロイドはエレザードをくり出した。
こうしてシトロンとシトロイドのバトルが始まった。


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