椿油で手入れされた村田の髪は、いつも艶があり指通りがよかった。
「おはよう」
「……ん、おはようミョウジ…」
寝ぼけたままの村田は温もりを求め、ナマエを抱き寄せた。ナマエは嬉しく思いつつもその腕から抜け出すと、村田の眠りを妨げるべく、彼を組み敷き口づけを落とし始める。胸元、鎖骨、首筋、耳、鼻、口。
「な、なに、朝から…」
「だって村田が起きないから」
その間も口づけの嵐は止まらない。
「わかった、起きる、起きるから! 」
「よし! 」
顔を真っ赤にした村田が上半身を起こす。彼の膝に座ったままのナマエは満足げに笑うと、最後額に軽く口づけた。
「あ、村田の髪乱れてる」
「まあ寝起きだから」
「それだけじゃないけどねぇ」
「なんか恥ずかしいからやめて…」
自分しか見ることのできない姿も、この微温湯のような幸福も、愛くるしくて仕方がなかった。
みだれ髪
(他の人には見せないでね)
2019/12/03