19

昨日まで秋だと思っていたのに、朝起きたら急に冬に変わっていた。寒いなぁって思いながらカーテンと窓を開けて外の世界を伺う。急に雪が積もっているなんてことはなかったけれど、すっかり冬の匂いに変わっていた。すぐに窓を閉めて、身支度を整えて朝食のために寮の食堂に向かった。


「あれ?悠仁だけ?」
「お、なまえ早いな」

いつもと同じ時間に来たつもりだったけれど、食堂に居たのは悠仁だけだった。いつもならパンダ先輩と狗巻先輩が居て、真希先輩が食べ終わっているところ。恵と野薔薇が遅いのはいつものことだからあまり気にならないけど。


「今日寒くない?」
「ん?そう??」
「そういえば悠仁って宮城出身だもんね」
「そうそう、」
「寒いの慣れてそう」
「慣れないっての。俺夏のほうが好きだし」


他愛のない会話をしつつ、用意された朝食のおかずをトレイの上に乗せていく。ほかほかと湯気を立てている食品は、いつもよりどこか熱そうに見えた。いつもと変わらないのにね。


「やっぱり今日寒いよ」
「そうか?」
「悠仁おかしい」
「おかしくねぇよ」

ふたりしかいない食堂はちょっと寂しくて、食堂は広いのにふたり並んで座ってしまう。普段なら向き合って座るけど、今日は寒いから並んで座った。あったかいのかと聞かれればさほど変わりはないと思う。けど気持ちがあったかくなる、そんな気がした。


「今日一時間目なんだっけ」
「俺に聞く?」
「そうだった、こういうのは恵に聞かなきゃダメだった」
「伏黒真面目だもんな!」
「寝起きやばいけどね」
「まだ寝てんのかなぁ」
「寝てるでしょ」
「飯食ったら起こしに行ってみる?」
「行っちゃう?」


まるで小さい子が父親を起こしにいくみたいに二人悪だくみしながら朝食を食べた。きっと今日も楽しい一日になりそう、そんな予感がした。





おまけの伏黒恵くん


「ふしぐろー起きろー」
「……」
「悠仁、鍵空いてる」
「お邪魔しまーす(大声)」
「恵、朝だよ。起きて。起きないとちゅーするよ(悠仁が)」
「…ねぇちゃん?」

最終的に悠仁もわたしも次やったら殺すって怒られた。起こしてあげたのに理不尽。


伏黒くんは姉ちゃんって呼ばないって気づいたけど姉ちゃんって言わせたいのであえて姉ちゃんで書きました