塵も積もれば愛となる


自分から呼び出したくせにわたしがマイキーの家に着いた時、マイキーはゲームに夢中だった。声を掛けても構ってくれる様子がないから、ゲームが終わるまで、とわたしもマイキーのベッドの上で3DSを始めた。最近出たばかりの新作で、今日もやりこもうと思っていたものだった。


「なまえ、なーにしてんの?」


ぎしっと音がして、ゲームを終えたマイキーがわたしの横に寝ころんだ。ちょっと拗ねてるわたしはマイキーを無視してゲームを続ける。因果応報っていうんだよ、マイキー。


「なまえ〜?」
「………」
「なまえ、聞いてる?」
「……」
「なに怒ってんの?どら焼き食う?」
「……いらない」


唐突にどら焼きって単語を出されてマイキーらしいなって思って笑ってしまいそうになった。でも、今日の機嫌はどら焼き程度じゃ収まりそうもない。というか、怒ってるというか、また同じことをされたくないって気持ちが強いから。


「なまえ〜」
「今ゲームしてるの」
「ふ〜〜ん」


ちょっと不機嫌そうな顔を見せたマイキーは天井を見上げた。諦めたのかな。少しでいいから懲りて欲しい。ドラケンくんはマイキーに甘いかもしれない。けど、わたしはマイキーとずっと一緒に居たいからこそこっちから折れるわけにはいかないのだ。


しばらくして、隣で動かないままのマイキーがふいに動き出した。「なまえ、」とわたしの名前を呼んでぴったりとわたしに寄り添う。服越しでも伝わってくる体温が心地よくて、許してしまいそうになった。


「俺もうすきにするからな」
「…すれば?」
「なまえのば〜か」

交わした会話はその程度だったと思う。服の隙間から手を差し込んだマイキーはうつ伏せのままのわたしの背中に手を伸ばして、パチンと器用にブラのホックを外した。「ちょっと」と歯向かう姿勢を向ければ、そのまま仰向けにされた。わたしの手からすり抜けたゲーム機はそのままわたしの顔の隣でBGMを鳴らしている。


「なまえが悪い」

わたしの上に馬乗りになったマイキーがそう呟いた。視界の中にはマイキーと天井だけ。再び手を差し込んだマイキーの手のひらが素肌を這って胸を揉んだ。「なまえのおっぱいきもちいー」と呟いたその唇が、わたしの唇に重なった。くっついてすぐに離れてまたすぐにくっつく。それを何度か繰り返して、息が苦しくなったわたしが呼吸をするために開いた唇からぬるりと生暖かい感触が咥内に入り込む。


「っん」
「なまえ、しよ?」
「……やだ」
「そーいうこと言わないの」


人差し指と親指で乳首を摘ままれ、そのままコロコロと指先で転がされる。ちょっとずつちょっとずつ思考が快楽に支配されていく。マイキーの目が肉食獣が獲物を捕らえた時のようにわたしを見下ろしている。逃げられない。逃れられない。


「次はないからね」
「なにがー?」
「わたしのこと次放っといたらもうえっちしないからね」
「はは、わかったわかった」


全然わかってないって表情をしながら、マイキーが再びわたしに唇を寄せる。言葉を遮るように。

きっと多分マイキーはまた同じことをするんだろう。そしてわたしはまた同じように流されるんだろう。惚れた弱み。仕方ないと思いながら、わたしはマイキーの首に手を回す。いつかマイキーの愛がわたしより大きくなる日を夢見ながら。