ほふく前進
「この前は大丈夫だった?」
「うん、迷惑かけてごめんね」
「大丈夫大丈夫、来週の文化祭はいけそう?」
「皆の迷惑でなければ参加したいな」
「迷惑なんてそんな!!よかった、全員で参加できて・・・」
朝一に私の元に来た委員長は、安心したように息を吐いた
織和は学校に来て速攻で私を抱きしめにきたし、猪爪くんも申し訳なさそうにまた謝りに来てくれた
猪爪くんに関してはこちらこそという感じで気にしている様子が申し訳ない
準備の方は粗方終わっているらしい
私のクラスはあの正月番組で有名な絶対に笑ってはいけないやつの授業版である
1時間ごとに内容が分かれ、私は国語の時間に遅刻して教師にバレないように席に向かうもブーブークッショントラップにかかるという役をやる
どことなく遠巻きにはされてるが準備も本番もクラス全員やるというのがルールであるので任された
どことなく困ったような雰囲気を皆出していたがやるからには全力でやりたいと思っている
ちなみに笑った人への罰ゲームは勿論ケツバット・・・ではなく特性ミックスジュース一気飲みだ
私は味見させてもらえなかったがなかなかに不味いらしい
量は70mlのカップ半分程度だから頑張ってほしい
国語の授業は一回しかないので私の出番はそれだけである
皆がワイワイやっている中一人浮いている状況は寂しいものではあるが、文化祭が終われば夏休みだ
誰かに気を使われる心配もないので、とにかく今は皆の邪魔にならないように頑張るだけである
「皆気合い入ってるね、坂木さんはどう?」
「毎日ほふく前進の練習してるよ」
「へー・・・え?毎日!?」
「うん」
「ふ、ふーん・・・」
視線を逸らされた
「ほふく前進かぁ」
何やら考え込み出した委員長がブツブツと言いながら衣装担当の所まで歩いていく
一言二言交わすと衣装担当の子がコッチを勢いよく見たあと再び委員長に顔を向け物凄い顔付きでうなづいていた
いったいなんなんだろうか
その時の私には知る由もなかった
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