朝ごはん

目を覚ますとミリオの腕の中で、夢でなかった事を実感する

今日はお母さんは昼過ぎの帰宅のはずだ

今はそろそろ8時になるぐらいの時間

日曜だけどインターンとやらはないのだろうか

ミリオの胸(体制的にそこしか触れなかった)を叩くとよりいっそう強く抱きしめられた


「ちょっと!」

「あともう少し」

「インターンは!?ないの!?」

「今日はおやすみでーす」


起きるために少しだけずらした掛け布団をご丁寧に戻され二度寝の体制にはいる

私は起きたいんだ


「朝ご飯食べるの?」

「うん」

「じゃぁ腕どけて」

「やだ」

「なら作れない」

「やだ」

「ミリオ」

「んー」


ぎゅーぎゅーと締め付ける腕から何とか解放しようと動くが鍛えられてる男の腕から逃げるのは正直厳しいもので

ミリオの温かい体温のせいもあるのかどんどん眠くなっていく

やめろ、私は洗濯をするという任務があるんだ


「陽向の寝顔見てたら寝不足なんだよね」

「何をしてんだお前は!」


手のひらでミリオの顎を押し上げ腕から脱出する

ブーブーと文句を言いながらミリオはしぶしぶと起き上がった


「ご飯出来たら呼ぶけど」

「陽向が起きるなら起きるよ」

「そう」


ミリオがいたお陰か、昨日の恐怖は無くなった

あんなに震えていたのに今は全く震えていない

あの温かい手のひらは、本当に腹が立つぐらい私を安心させる


「今日パンでいい?」

「うん」

「じゃぁちょっと適当に作るから座ってて」

「適当じゃなくてちゃんと愛を込めてよ」

「殴るよ?作って貰えるだけありがたいと思え」


テーブルに上半身を投げ出し項垂れるミリオを横目にフライパンの上に卵を落とす

水を入れて蓋をしてからパンを取り出し、いつの間にやら出てたパン焼きに入れる

唐揚げの残りがあったからそれをレンジにいれ、再びフライパンに戻る

レタスとトマトで簡単なサラダを作ってテーブルに持っていく頃には結構贅沢な朝食が完成していた


「あれ?陽向は唐揚げいらないの?」

「朝から肉はキツいわよ、アンタ責任もって処理しなさいよ」

「処理って・・・言い方!これ凄い美味しいのに!出来たて絶対もっと美味しいやつだよね!?」

「そう?ありがとう、気が向いたら出来たてあげるわね」

「・・・陽向さん?」

「なに」

「これ陽向さんの手作りなんですか?」

「そうだけど」

「陽向の愛の」

「込もってない」

「込めてよ」

「さっさと食べる」


箸で唐揚げを掴み、ミリオの口に押し込む

ミリオの作ったコーンスープ(レトルト)を飲み、食パンに手を伸ばす

視線が気になり、ミリオを見ると真っ赤な顔で口を動かしていた


「なに」

「・・・なんでもない」


少し怒ったような、拗ねたような口調でサラダに手をつけ始めたミリオ

朝食は綺麗に平らげてくれた

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