家が魔宮

「ヤシロ!元気を出せ!!魔導書はきっと次貰えるぞ!!」


レオポルドに会うというニュアンスで出てきてしまった手前、会わない訳にもいかず、一度ヴァーミリオン家の屋敷へと向かった一行

だが勿論中に入るのを拒んだヤシロは結局家まで送るという名目でレオポルドが増えた四人で森を歩いていた

箒に乗るという提案は全力で拒否する事を忘れずに


「別に落ち込んではいないよ、レオくん」

「だが、無いのは悲しいだろ?」

「いやぁ、元々魔導書がない所で生きてたから全く」

「いや!悲しいはずだ!!」


ギュウギュウとヤシロに抱きつく弟を見て、いったい二人に何があったのだろうかと思うフエゴレオン

メレオレオナに聞いたが知らんとしか返ってこなかった


「だが本当に謎だな、ヤシロはどちらかと言うと"魔"が多い・・・それこそ我々王族に引けを取らないぐらいにだ」

「そんなこと分かるの?」

「お前もこの国で暮らして行けば分かるようになるさ」

「それよりヤシロ、何故お前はあの時やり返さなかった!」


フエゴレオンと会話をしながら抱き上げているレオポルドに頭を撫でられていると、メレオレオナが不機嫌に怒り出す

そもそも戦闘意欲が無さすぎるやら、少しは反撃を覚えろやら

あれぐらいのことでこんなにも怒る姉にフエゴレオンは首を傾げた


「ヤシロは姉上と何かあったのか?」

「ずっと前に崖から落ちたみたいで意識朦朧としてたから家に連れて帰って看病した」


そういえばまったく連絡の取れない時期があった

ひと月ぐらいだろうか、その後何事もなく帰ってきたのだが、まさか崖から落ちていたとは


「その時彼女に攻撃を仕掛けられたんだけど、傷口開いたら嫌だからほぼ強制的に眠って貰った」

「姉上相手に魔導書無しにか?」

「うん」

「そうだ!!だから必ず紅蓮の獅子王の力になると思っていたのだが、何故貴様に魔導書がこない!!」

「知らないですよ」


声を荒らげたメレオレオナに驚きぎゅー、とレオポルドがしがみついた先はヤシロの後頭部で、顔面がレオポルドの体で覆われたヤシロは立ち止まった

このままでは不便そうだと思ったフエゴレオンはレオポルドを自身の方に来るよう誘導する

手を伸ばしたレオポルドの脇を掴んで抱き抱えるとヤシロは少しだけ髪の毛を手櫛で直したあとまた歩き出した


「それより結構歩いたな・・・本当にこっちなのか?」


今朝方待ち合わせた川も通り過ぎ、どれぐらい経っただろうか

そろそろだというヤシロの言葉に疑心を抱くが、信じようと思う

あそこだ、と指をさしたその時・・・


「ひいぃ・・・」


見た事のあるローブを纏った男が二人、ヤシロの家だという場所の前でへたり込んでいた


「人の家の前で何してんだ」

「はぁ!?家!?」


ヤシロの声が1オクターブ低くなった気がした

振り返った二人は見知らぬ異邦人と、自国の王族の姿に驚愕した


「何故こちらにっ!?」

「ここはこの者の家だと言うが・・・お前達は何をしていた」


そう聞いたもののフエゴレオン、そしてメレオレオナは察しがついていた

明らかな異常な感覚の"魔"がその家の周辺からもだだ漏れている

目の前の男を泥棒とでも思っているだろうヤシロはフエゴレオンの背後に隠した


「わ、我々は団長にここに魔宮があると言われ調査してこいと!!」

「入ったはいいのですが、直後わけも分からず外に追い出されていて・・・」

「人の家不法侵入した挙句勝手に人の家が化け物みたいな言い方を・・・」

「お前達は新人か?とりあえず我々がもう一度見てくる、ここでレオポルドと共に待っていてくれないか?」


ヤシロの言葉を遮りレオポルドを引き渡すとフエゴレオンはヤシロの腕をつかみヤシロの家・・・もとい魔宮に体を向ける

メレオレオナも隣で楽しそうに笑っていた


「今朝行った時は何も無かったんだがな」

「・・・扉は開けられないな、ヤシロ、家主のお前が試しにやってみろ」

「何なんだよ本当に・・・」


フエゴレオンが回しても開かないドアノブを回したら、ガチャリと音がする

開いた・・・

ゴクリと唾を飲み込み、ヤシロが扉を開ける


「ヤシロっ!!」


突然飛び出してきた蔓のようなものからヤシロを抱きしめ庇い、その上炎防御魔法で防いだはずだが、その弦は炎で萌えることも無くヤシロとフエゴレオンを捕まえ魔宮へと引き摺り混んでいく

メレオレオナが攻撃魔法を繰り出すが、それの魔法は吸収され、壁からそっくりそのまま攻撃が返ってきた


「ヤシロ!フエゴレオン!!くそ、貴様等はそこにいろ!!」


狭くなっていく入口に潜り込み中に入るメレオレオナ

視界は暗くなるばかりだった

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