一学期中間テスト

中間テスト当日

E組生徒は普段の特別校舎から離れ、本校舎でテストを行う

しかもめんどくさいことにわざわざ特別校舎に荷物を置いてから筆記用具だけ持っていかないといけない

休憩時間にテスト勉強もさせてもらえないのだ


「城戸さん」

「浅野君」


用意された教室に向かう途中、この学校の生徒会長・浅野学秀に鉢合わせた

一緒に歩いていた寺坂グループ面々をみて、浅野はため息を吐く


「そんな連中とつるんでないで、早くこっちにもどってきたらどうなんだい?」


カチンときた寺坂が「何が言いてぇ」と低く唸ると浅野はくつくつと笑う

成績優秀であるが、素行不良でE組に落とされた赤羽と違い、撫子は確かに浅野や赤羽には負けるが成績は優秀、素行も本来なら特に問題はなかった

ただ、E組候補のグループとつるむ前までの話だが


「コイツらが城戸さんに何をしてこうしてるのかは知らないが、脅されてるなら僕に言ってほしい・・・力に」

「ごめんなさい、浅野君」


撫子は笑っていた

表情は、笑っていた


「E組に行ったのも、彼等と一緒にいるのも私の意思だから、何も気にしないで」

「っ、それが間違ってる選択だと言っているんじゃないか!!」

「面白いね、浅野君は」

「は、」

「私と同じ歳しか生きてないのに、その選択が間違ってるかどうかわかるの?」


大人だってわからないことなのに

大人だって間違えるのに

浅野にとっての間違いは撫子とっては・・・


「行こう、テスト遅れちゃうよ」

「・・・そうね」


呆然と立ち尽くす浅野を置いて歩き出す


「でもよ、城戸はぶっちゃけ本校舎のがお似合いそうだよな」


吉田が言う

撫子はえー、と困ったように笑う


「そいや、なんでE組落ちたんだよ」

「それは」


口を噤んだ

少し考えてからにっこり笑う


「この中の誰でもいいから私よりいい成績だしたら教えたげる」

「無理ゲーじゃねーか!!」


村松に軽く小突かれあははと声を出す


「どうかしたか、狭間」


その様子をじっと見ていた狭間を不審に思い、寺坂が声を掛けた


「なんでもないわ」


ふと2年の時にあった事を思い出した

そう、撫子は寺坂を真っ直ぐ見つめながら・・・


「アンタは馬鹿のままでいなさいよ」


勉強も出来ない、素行も悪い

そんな寺坂に撫子はこう言っていたのだ


「羨ましい」




その言葉は何に対して羨ましいのか、狭間には知りたくもないが、いまだにどこかこのクラスに馴染めていない寺坂に、まだそう思っているのだろうか

思っているから、つるんでいるのだろうか

狭間はじっと見つめていた

***

「どういう事か説明をいただきたいのですが」


テスト前日にテスト範囲大幅変更

前代未聞の自体によって、E組全員50位以内という目標は無残にも敗れ去った

烏間は本校舎との教師との会話が終わると教室内を見渡した

皆肩を落としているし、ターゲットも黒板に顔を向けたいた


「この学校を甘く見ていました、皆に合わす顔がありません」

「へー、顔見なくていいんだ?」


言葉とともに投げれたナイフをかわし、投げた本人をみる


「カルマ君!先生は落ち込んで・・・にゅや?」


殺せんせーの前に出された5枚の紙

全て98点以上の赤羽のテストだ


「先生俺の成績に合わせて余計なトコまで教えんだもん」


クラス全員が赤羽を見つめる


「それに、城戸もそこそこいいとことったんじゃないの?」


くるり、と振り返り視線を撫子に向ける

撫子は視線を向ける

確かに、全て95は取れている


「で、どうすんの殺せんせー、俺はE組に残るよ?そのほうが楽しいし」


赤羽はニヤニヤしながら殺せんせーをみつめる


「あ、もしかしてクラス全員が50位に入らなかったのを理由に逃げるの?死ぬのが怖いから?」


おちょくるような赤羽をみてクラス全員が閃いたように次々に「怖かったのかー」「仕方ないねー」と言っていく

堪忍袋の切れた殺せんせーが顔を真っ赤にして高らかに宣言した


「次の期末テストで倍返しです!!覚悟しなさい!!」


クラス全員が笑った

撫子は大層笑った後、自分の手元の紙切れをみる

どんなにいい点取っても、どんなに悪い点取っても、変わらないんだ

モヤモヤとしか感情が渦巻く


「というか、勉強教えた私よりいい点取るって何事よ!」


ポン、と片岡に肩を叩かれ我にかえる


「片岡さんの教え方がよかったんだよ」


うまく、笑えてるのだろうか


「先生」

「何でしょう、城戸さん」

「私も、E組やめませんから」


辞めたら、生きていけなくなるから

撫子は笑ったのだった

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