修学旅行一日目
中間テストを終えると次にくるイベントは修学旅行
修学旅行1週間前を控え教室内はざわついている
「撫子、アンタは私と一緒でいいの?」
「うん、だとありがたいかなー」
「じゃぁメンバーは・・・」
狭間が寺坂に確認をとって片岡に伝える
撫子はニコニコとその様子をみていた
柄にもなくワクワクしている
早く修学旅行の日が来ないかな、と思った
「え、新幹線のチケットがない、ですか?」
「詳しくは一人分がひとつ前の新幹線なんだ」
時間1時間前
なんとなく早くついた撫子に烏間が言う
今いるのは撫子、撫子と一緒に来た狭間、学級委員の片岡と磯貝の四人
新幹線が行くまでもう10分もない
ここで誰かが乗らなければ一人参加できなくなる
本来なら教師どちらかがと言いたいのだが残念ながらイリーナはまだ来ておらず、烏間もいなくなると他が困る
「あ、じゃぁ私先行きますよ」
「アンタ大丈夫なの?」
「駅ついたらおとなしくしているよ、改札近くにいれば大丈夫ですよね?」
「そうだが・・・」
「学級委員はクラスまとめないとだし、綺羅々ちゃんは寺坂君達の面倒みないと!イェラビッチ先生と殺せんせータッグも大変だろうし私が一番適任だと思うんです」
面々が困ったように顔をしかめ、しかし最終的には頷いた
こうして、撫子の京都一人旅(向かうだけ)が始まったのだった
***
京都行の新幹線に乗り、自分の席の番号を探す
指定された席のある号車に乗ってあぁ、と頭を抱えた
セーラー服と学ランの団体
どこかの学校と一緒の号車の一番前
うちの学校は知っていたのかたまたまなのか
撫子の知るところではないがここに座るなら立っていたほうがいい
撫子はこの号車から出て行こうと思った
「撫子?」
声をかけられるまではだ
「秀次くん」
「なんでここに」
「学校の手違いでね、新幹線ひとつ早いのに乗らないといけなくなって、それでそこの席なんだけどさ」
撫子はスッと指をさしたところをみて少しだけ顔をしかめる
数人の男子の団体
すでに撫子座るはずの場所には三輪と同じ学校の男子生徒が居座っている
「とりあえず立っていようかなって」
「ならこっちに座ればいい」
三輪は教師に事情を説明してくれ、そのまま三輪の隣に座ることになった
***
新幹線に乗って数時間
気まずい空気もなく、時間は過ぎていく
三輪は撫子から貰うポッキーを食べながら内心安心した
撫子の席は他のクラスメイトが座ってしまっていたし何より他の男の隣にいてほしくなかったのだ
こうやって一緒の新幹線に乗れたのも運が良かったと思った
だが、1つ腑に落ちない
「何で撫子だけひとりで乗っているんだ?」
その問に撫子は苦笑いを零しながら答える
手違いでこうなったこと
その場にいたちょうどいいのが自分だと判断し、名乗り出たこと
三輪は難しい顔つきになったがそうか、とだけ答えた
「でも、米屋君も一緒の学校だったんだね」
「え、あ、あぁ」
離れた所に座っている米屋という男子をみて言う
米屋とも小学校での知り合いだ
まだこっちには気づいていない
「なぁ、撫子」
「ん?」
「この前のことなんだが」
この前、カフェのことだ
撫子は一週間表情を固くするがまたニコリと笑った
「あの時はごめんね、嫌な思いさせちゃったかな」
「あ、いや、それは俺の台詞で」
「ううん、私が悪いの、ごめんね」
有無を言わさない態度に戸惑う
彼女はこのような人間だっただろうか・・・
「なぁ、撫子」
「秀次、何してんだよ」
他のグループと話していた米屋が戻って来る
ふと、視線が撫子にいった
「あれ?何で女連れ?」
「お前がさっきまでいた奴らの一番窓側の席が撫子の座る場所だったんだ」
「へー、って撫子?もしかして小学校の時同じクラスの城戸撫子?」
「覚えてたんだ!米屋君って3、4年の時だけだよね一緒だったの!」
「そりゃー覚えてるわ!狭間と秀次の城戸争奪戦楽しみでお前らのクラス通ってたし」
ニコニコ笑う米屋にほっと一息つく
一瞬感じた空気がまるでなかったように
三輪は気のせいか、と再び今度は米屋と3人で話し始めた
***
京都についた
撫子は三輪、米屋と別れると烏間に連絡を入れる
あと一時間ほどで着くそうだ
撫子は改札付近の店に入りお茶を頼む
この時間に制服姿で1人でいるなど警察に声かけられそうだと思った
のんびりと紅茶を楽しみ、携帯を開く
狭間からの心配の連絡と片岡からの謝罪と感謝、そしてやはり心配の連絡
特に問題はないし、のんびりしてるから気をつけて来てねと返すと1冊の本を取り出した
三輪が待っている間暇だろうと貸してくれた本
他に2冊あったが、彼は修学旅行を楽しむつもりはあったのだろうかと不安になるぐらいの厚さだった
パラパラと捲り、読んでいく
内容は復讐物
苦手だなぁ、と本を閉じた
その後、お土産屋をちらりと見たりしているうちに一時間はたち、無事E組と合流し、初日はクラスで行動し、旅館へ
そして二日目がグループでの自由行動だ
撫子は宿につくなりふう、とため息をつく
「ごめんね城戸さん、ひとりで行かせちゃって」
「気にしないで、偶然友達いたし楽しかったよ」
「友達?」
「同じく修学旅行だったみたい」
ならよかった、と安堵する学級委員二人
明日は早いからさっさと寝よう、と布団に潜り込むと隣にいた狭間が声をかけた
「本当に大丈夫だったの?」
「? うん、大丈夫だよ?」
「なら、いいんだけど」
元気ないから
小さく聞こえた声に息を呑む
「綺羅々ちゃん凄いね」
「幼なじみだからね」
「手、繋いでいい?」
「特別」
ククク、と笑いながら左手を差し出す
撫子はその手をしっかりと掴み、目をつぶる
「あ、」
「どうしたんですか?」
「狭間さんと城戸さん」
茅野が指さすと手をつないで眠る2人の姿
狭間が手を繋ぐのが意外で、ニヤニヤしてしまう
「写真とっちゃおうか!」
中村が携帯をとりだし、カメラに収める
まだ、修学旅行は始まったばかりだ
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