球技大会

梅雨が明け、快晴が続き始めた頃、椚ヶ丘中では球技大会が行われる

男子が野球、女子がバスケなのだが・・・


「相変わらずE組はトーナメントに入っていないのですねぇ・・・」

「まぁ、学業疎かにして落ちたからなぁ」

「でも、最後に野球部、バスケ部それぞれがE組を叩きのめすようなイベントはあるぜ?」


そして話を聞く限りだと元野球部である杉野が野球部エースに喧嘩を売られたらしい

正直女子には関係ないので撫子は興味がない

でも、もともと体を動かす事は好きなためか球技大会に関しては楽しみにしている


「けっ、そんな負け戦やってられっか」


隣から聞こえた声に顔を横に向けると寺坂が悪態を付いてサボり宣言をする

それに続いて吉田、村松が出ていく


「綺羅々ちゃんはいいの?」

「アンタの保護者」

「わー、ありがたい」

「棒読み」


寺坂くんも楽しめばいいのにー、と思いながら主のいなくなった机を観る


「城戸さーん」

「はいはーい」


球技大会のチーム編成について話し合うため、女子の輪に入っていく


「メグは絶対スタメンだよねー」

「あとひなたも外せないねー」

「あと運動出来るの誰だろ」


学級委員の片岡を中心に話が進んでいく

すると片岡と目が合った


「そういや噂で聞いたけど城戸さんっていろいろ助っ人やってたんだよね?」

「助っ人なんてカッコイイ役職じゃないけどそこそこお手伝いはね」

「バスケ部の助っ人とかは?」

「少しだけ」

「城戸さんもスタメンいれよっかー!!」


倉橋の笑顔と声と共にプリントに撫子の名前が記入されたのだった


「綺羅々ちゃんはいいの?」

「私運動苦手なの知ってんでしょ?」

「一応皆回るようにチーム作ってるって」

「マジ?ちょっとヤダ、私サボるから撫子よろしく」

「えー」

「狭間さんは城戸さんと同じチーム入れとかないとね」


茅野の言葉に顔をしかめた狭間

撫子はそんなことは気にせず、球技大会が待ち遠しくて仕方なかったのだった

***

球技大会当日

E組生徒も体操着に着替え、本校舎に設立されている体育館に向かう


「あ、あの!!城戸先輩!」

「え?」


皆で移動していると後輩と思わしき女生徒に声を掛けられる

撫子はクラスメイトから抜け出しその女生徒に近寄る


「えー、と?」

「あ、あのあの!!今日の球技大会頑張ってください!!」


グイ、と押し付けられたのはスポーツ飲料水

待ってと声をあげるが女生徒は駆け足でいなくなってしまう


「ありがとう!!」

「!!」


撫子の声に振り返り真っ赤な顔でお辞儀をしてまた走っていく女生徒

困ったなぁ、と苦笑いをしてクラスメイトの輪に戻ると前原に肩を組まれた


「よー!!モテモテ女!!」

「モテモテって・・・」

「いや、本当に羨ましいぜ、城戸と片岡」


神妙な顔つきになり片岡と撫子を並ばせてマジマジとみる

それもそのはずだ

撫子と片岡は既に本校舎の複数の生徒(全員女子)からプレゼントを貰っているのだ

主にスポーツ飲料や栄養補給で有名なゼリー飲料、お菓子等だが

男子も磯貝が貰っていたりしていたが、この2人には追いつかない

いやー、何でだろうと撫子と片岡は遠い目をした


「まぁ、片岡さんは貰う理由わかるよ?面倒見がいいし、モテモテでしょ?」

「なら城戸さんはヒーローだよね、去年の噂だけでもいろいろ人助けとかしていたみたいだし」

「私は自分がやりたい事と、人としてやって当然と思ったことをやっていただけだけらこうされる理由ではないと思うんだけどなー」


撫子に関しての噂

主に階段から落ちそうになった生徒をかばったとか、頭上から物が落ちてきてぶつかりそうになったそれに当たらないよう腕を引っ張ったとか、部活動の途中に失敗した強めのボールをキャッチして生徒の身を守った等々があるが撫子にしては当たり前のことなので本当に理由が分かっていない


「なんか城戸さんって何でもできるイメージあるなぁ」

「E組落ちたのも別に成績不振ってわけではないんでしょ?」

「あはは、まぁ、それはどうでもいいじゃん」


城戸先輩!、とまた声がかかりまた輪から離れる

片岡と岡野はそんな撫子をじっと見る


「なんか、はぐらかされたね」

「言いたくない理由とかあったのかな?」

「あんまりそのことつつかないでやってくんない?」

「うわぁ!!」


突然現れた狭間に驚く2人

狭間は気にせず続ける


「アイツも必死なんだから」

「え?」

「それだけ」


呼び出しが終わったのか狭間に駆け寄る撫子と、何事も無かったかのように撫子に笑いかける狭間


「あの2人って・・・」

「さぁ?」


片岡と岡野の中に疑問符が生まれた

***

試合は接戦後、E組は負けてしまった

とぼとぼと肩を落とす茅野を励ます片岡


「綺羅々ちゃんはもうちょっと悲しんだら?」

「私最初から無理って分かってたもの」

「綺羅々ちゃんは頭脳派だもんねー」


旧校舎の方に帰ろうとする撫子と狭間に片岡が声をかける


「男子の応援行かないの?」

「寺坂達が寂しがりそうだから先戻ってる」

「そう言ってるのでつきそうまーす」

「あ、そう?」

「アンタまで付いてこなくていいのよ?」

「ちょっと、アンタ達何やってんのよ」


振り返ると白いスーツに肌けた胸元と巨乳、ウェーブがかった金髪

イリーナだ

撫子はすぐさま作り笑いを貼り付けて狭間の腕を組む


「わぁ、私急に寺坂くん達に会いたくなっちゃった」

「はいはい」


失礼しまーす、といそいそといなくなる2人にイリーナは顔を顰める


「ビッチ先生と城戸さんって何かあったんですか?」

「まぁ、いろいろあったのよ」


いろいろあったし、ああいう態度を取られる理由もわかる

分かるが気に食わない

もう少し周りに気を使いなさいよ

悪態はいくらでも出てくるが、それでも自分がしたことを思うと仕方ないと思うしかなかった


「本当にビッチ嫌いね」

「嫌いです」

「ほら、そんな顔しない、寺坂達ビビるよ」

「そんな怖い顔してる?」

「してる、まぁでも、普段してる表情よりは好きよ」

「何それ」

「不細工って言ってんの」

「ひどーい」


2人は旧校舎への道を歩いていくのだった

前へ次へ
戻る