熱中症注意報

結局寺坂は放課後になっても戻ってくることなく、翌朝をむかえた

駅のホームに向かうといつぞやに出会った木虎藍に会う

相手が覚えているか定かではないので、声はかけないようにしたが、向こうが気づいたのか頭を下げてきたので手をふってみた

すると嬉しそうに近づいてきたので撫子も歩み寄る、が、そこで違和感を感じた

夏で、暑いのも分かるが異様な汗の量

真っ赤な顔

ここまで徒歩で来たようだがあまりにも息が荒い


「ねぇ、大丈夫?」

「ちょっと頭痛いですけど、まぁ、はい」


これはおかしい

撫子は木虎の腕を掴み、駅員の方に向かう

様子を見た限りだと熱中症だろう

駅員に説明すると救護室の方に案内され、ベッドに木虎を寝かせると携帯を取り出し病院を探す

この時間だとやっていないか、と不安になったが24時間の病院が近場にあったのでそこに電話をし、すぐに連れてくるよう指示されたので荷物をとる

その際、救急車を向かわせるか聞いたが木虎が歩けると言ったので止めておいた

駅の外にゆっくり向かい、タクシーをひろうと木虎を押し込め運転手に携帯をみせ、この病院に行ってもらうよう頼み、走らせる


「私歩けます」

「大丈夫、大丈夫」

「何が大丈夫なんですか」

「具合悪そうな子に歩かせるなんてできないから、大丈夫、吐かない」

「待って」


病院についた頃には、撫子の方が死にそうではあったが気にしない

事前に電話で言っていたからかすぐなか往診してもらえた

やはり熱中症だった

木虎は医者に注意されながら点滴をうち、症状がまだ軽い方だったからと学校にいく許可をもらい、今は撫子と一緒に木虎の学校に向かっている


「星輪女学院なんだ」

「はい、あの、ここまで本当にありがとうございます」

「気にしない気にしない」


警備員に説明し、担任の先生を呼んでもらいまた説明

礼を言われ、「貴女の学校は?」と聞かれようやく自分も学校に行く途中だったと思い出す

慌てて携帯をみるとたくさんのメッセージアプリの通知や電話の通知履歴

電車に乗る予定だったためにマナーモードにしていた自分が恨めしい

失礼します、と頭を下げ走りだした撫子

走りながら殺せんせーの携帯に電話し、さっきまでのことを話すとよくやったと褒められたが連絡をくれと注意され、ゆっくり来てくださいと通話をきった

ゆっくりでいいか、と思うと走っていた足もゆっくりになる

時計をみると11時

ゆっくり歩いても昼休み中につくだろう

たが、その判断が後に撫子を後悔させたのだった

***

電車の遅延で5限が始まって少したったぐらいに到着してしまった

教室に入ると誰もいない

グラウンドにもいないということはプールだろうか、と思って体操着と水着を取り出すとそのプールの方から爆発音が聞こえた

驚いて中履きなのも気にせず走り出す

目的地に着くとヘタリ込み殴られたように頬が赤い寺坂と、それを見下ろす赤羽の姿

そして水が無くなっているプール

なんとなく察しがついた

でも、寺坂がここまでやるとは考えられないのが正直な感想だ


「アイツらだよ」

「アイツら?」

「・・・白と、イトナだよ」


あの2人か、とようやく合点がいき、急いで下流の方に向かう

殺せんせーが何とか流された生徒達を陸に避難させ、イトナと対峙していた、が1人避難出来ていない者がいた

原が気の枝に捕まり、今にも落ちそうな状況だ

寺坂がヘビーだなんだというがつまり、そういうことだ

原の安否が気になりまともにイトナに集中できない殺せんせー

絶体絶命のピンチ


「おいカルマ、俺を使え」


誰かに使われるのは腹が立つ

でも、同じ腹が立つならいっそのこと


「結構危険だけどいいの?」

「構うもんか」


ニヤリ、と赤羽が笑った


「おいイトナ!!」


赤羽に指示され、殺せんせーとイトナの元にいく

散々コケにしやがってと悪態をつき、俺が相手すると着ていたYシャツを脱ぎ、構える

白がイトナに指示し、イトナが触手で寺坂に攻撃をしてくる

寺坂の横腹にあたった


「いくらなんでも俺達を殺しにはこないだろう、裏を返せば」


どんなに痛くても死にはしない

寺坂はニヤリと笑う

赤羽の説明によると今朝、特殊なスプレーを教室内にばら撒き殺せんせーの粘液を全て垂れ流しにしたらしい

その制服をいまだ着ているということはだ

そのスプレーの成分が制服についているということ


「くちゅん」


イトナがくしゃみをする

寺坂の制服に触れた部分がブヨブヨに膨れ上がっていた

その一瞬をついて原を救出した殺せんせー

そして寺坂は吉田や村松に目配せし、川の方におりてくるようにする

水しぶきでイトナの触手に影響がでてくる

怒り狂いそうになるイトナを部が悪いと回収する白

いなくなった事に安堵し、だがすぐに騒がしくなった下をみて、撫子はようやく息を吐いた


「なんか、私本当に運が悪いね」

「なんで?」

「こういう大変なときに、その場にいないし役に立たない」


ギュッと手を握り、唇を噛み締める


「うわぁ!」


狭間に突き落とされ、バランスを崩したまま落ちていき、殺せんせーにキャッチされる


「今回被害にもあわず、助けることも出来なかった城戸撫子さんが盛大に拗ねてるわよ」


狭間がニヤニヤと笑いながら言うので違う!と声をあげるが周りの視線もまた、ニヤニヤしはじめる


「そっかそっかー、拗ねちゃったかー」

「人助けしてたら1人だけ蚊帳の外なんて寂しいもんねー」

「えいやー!!」


バシャ、と水をかけられる

先程まで赤羽に向いていたそれが今度は撫子にきたのだ

人助けとかなんなんだよ!、ヒーローかなんかか!と言われながらびしょびしょになっていく撫子

次はちゃんと一緒だよ

こんな危険な目に合うのはごめんだが、その言葉が素直に嬉しかった

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