不穏な空気はじわじわと
ロヴロの特別訓練が始まって数日の昨日
空は明るいが時刻は5時を回っていた
夏は時間が長く感じる
体にまとわりつく汗が嫌で、早くシャワーを浴びたいな、と思う
イリーナは今日は帰らないと言っていた
居候なら前もって家と思うがまぁ、イリーナだから仕方ない
今日のご飯は何にしようか
なんやかんやで久々のひとりごはんだ、とそんなことを考えながら歩いていく
夏期講習まであと1週間切った
ロヴロの特別訓練も今日で終わる
きっと今日はロヴロと過ごすのだろうか
「撫子」
名前を呼ばれ顔を上げると父親の姿があった
「お父さん」
「今日も学校だったのか?」
「うん、ちょっとね」
会話はそこで途切れる
久々に会ったのに何か話すことはないか、と考える
「撫子、今度大切な話がある」
「大切?」
「ここでは、言えない」
じゃぁ、仕事だからとすぐにいなくなった父親
家の中から来たからきっと着替えでも取りに来たのだろう
イリーナと鉢合わせにならなくてよかった
今はいない居候の存在に気づいていませんように、と思いながら撫子も家の中へ入っていった
正宗は車に乗り込み、エンジンをかける
助手席に放り投げてあった書類の束をとり、眺める
地球破壊超生物暗殺依頼書
ボーダーは国の機関ではないが、連携はしている
このような形で関わるのは初めてだが・・・
「椚ヶ丘中学3年E組」
すっ、と目が細められた
娘の様子を見る限り、危害はないようだ
だが
正宗は携帯をだし、通話ボタンをおす
「私だ」
声色はいつもと変わらない
「15分で戻る、東隊を呼べ 」
そう短く伝えるとすぐに通話を切って車を走らせる
地球を破壊する超生物が教師、そして正体も得体の知れない人物
自分には関係ないことだ
だが、もし娘に危害が加わるのなら・・・
正宗は強く地球破壊超生物の写真を握り潰した
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