一人目の刺客

廊下を歩いていると嫌でも人とすれ違う

すれ違う者は皆、視線を合わせないよう、まるでトラブルを避けるるような感じだ

だからこそお偉いさんの取引の場に使われるのだろうか


「なんか余裕だね」

「中に入ったら急に難易度下がったよね」

「とっとと行ってとっとと終わらせようぜ!」


先頭の烏間の後ろにいる寺坂、吉田が我先にと駆け出す

待て!という烏間の声は聞こえないようだ

前から人が来ているから気をつけてと声をかけようとして

撫子は息を止めた

撫子の中に一気につのる違和感

不破の気をつけてという言葉と共に撫子は吉田を、烏間が寺坂を引っ張りその反動で前へと出る


「烏間先生!」


名を呼ばれ撫子の方をみる

撫子の口元にはハンカチ

まさか、と身構える寸前

男が持っていた小さな容器から出てくるガス

ガスに包まれた烏間と撫子

スグに数歩下がり、ガスから振り払うが烏間はガスを少し吸ってしまったのか膝をついてしまった


「残念だったなお嬢ちゃん、少し遅かったようだ」

「不破さんも城戸さんもなんでわかったの?」

「あのおじさん、最初にサービスドリンク出してくれたウェイターだもん」

「え」

「え?」


不破の言葉に一番に驚いたのは撫子だった

知ってたんじゃないの、という視線は無視だ


「私、全て、直感」

「なんで単語単語で話してんだよ」

「だって不破さんめっちゃ確信持って発言しているから恥ずかしくって」


もう分けなさそうに縮こまる撫子の後頭部を軽く叩く菅谷


「それでも、その直感でガスを吸った量が少なかったのは幸いだな」

「俺らが調子のって前にいかなけりゃ・・・」

「助かった、城戸」


烏間や寺坂達の言葉にホッとする

しかしそれで状況が良くなった訳ではない


「アンタがジュースに薬盛って皆をあんな風にしたのね!!」


撫子の感と不破の発言により、皆が思った事を大声で言った茅野

しかしそれでは証拠不十分だ、と男が言った


「いいえ、証拠はあるわ」


不破がふふん、と自信満々に推理を披露していく

まず、クラス全員が一緒のものを飲み食いしたのはサービスドリンクの時と船上ディナーの時

そして、船上ディナーで夕飯を食べていない三村までもが倒れたのだ

ふと、三村に渡したタッパーの事を思い出した

それを伝えるとすぐに菅谷が暗殺の時食べる余裕は無かったから茅野の船に置いていた、と言った

その後もやはり食べていないらしくまだタッパーの中に入っていたようだ


「サービスドリンクの時で飲み三村くんにも薬が盛れた、だから犯人は貴方よおじさんくん!」


どや、と某少年マンガの見た目は小学生な名探偵に似せてなのかビシッと男を指差す不破

おー、と歓声が上がり男はうぐ、とたじろいた


「まぁ、そう推理できたところでもう手遅れだろう、引率の先生もそんな状態じゃぁな」


さーて、俺はボスに報告しに戻るかなー、と軽口を叩き後ろを振り向くと先程入った入口には生徒が立ちふさがっている

焦り、他の出入口を見るがやはり生徒がいる

素早い

男は苦虫を潰したような表情をする


「お前の敗北は相手を中学生だからと侮ったのが原因だな」


ゆらり、と立ち上がる烏間にコイツはバケモノか、と言いたげな目で見る男

象でもすぐに眠る薬を浴びたんだぞ、と叫ぶ男に容赦なく回し蹴りを決めた

どうやら戦闘面はからっきしのようだ

倒れた男を寺坂と吉田が腕側と足側に立って持ち上げ、奥にあるテーブルの下に隠す

磯貝に肩を貸してもらい、なお前を歩いていこうとする烏間に生徒はあの人はバケモノか、と思った

烏間が動けなくなった今、ようやく夏休みらしくなったと殺せんせーが嬉しそうに言った

どこがだ、と皆が思うが殺せんせー曰く、親も教師も目の届かない手の出ないところで自律性を鍛えるのが夏休み

行動を自分達で行わないといけなくなった今、より一層夏休みらしくなったと喜んでいるのだ


「さぁ!時間はありません!どんどん行きますよ!!」


まだ予期せぬ敵が繰り出されるだろう

撫子はぐっ、と手に力を入れた

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