二人目の刺客

5階まで登ると展望テラスのような造りになっていた

外を見ると綺麗な夜景

闇空の下に広がる海は、ホテルやらの光で輝いていた

なんか奇襲とかそういうの抜きでここにきて楽しみたかった、と撫子はため息をはくと烏間がまて、と声をかけた

ゆっくり曲がり角から広がった廊下を覗くと1人の男がいた

ただならぬ雰囲気に、あの人は殺し屋だ、とすぐに分かった


「そこに誰かいるヌ」


びくっ、と肩が上がる

距離は結構ある

息を潜めていたし隠密の訓練もしていた

バレないと思った


「隠れていないで出てくるヌ」


ばきん

防犯ガラスでできた窓を素手でヒビをいれた男

相手の武器は素手

暗殺の際、危険物のチェックをされたとしても余裕でかわせ、何より何も持たずに暗殺できるもしかしたら一番高性能な武器

烏間は思う、ここで引いたところで意味はなさないだろうと

烏間の判断で全員が姿を男の前に表す


「貴様らがここにいるということはスモッグはやられたヌ、まぁいい、ここで貴様らを俺が殺せばそれでいいヌ」


緊迫した場面

目の前には殺し屋

でも、それでも


「ねぇおじさん、なんかさっきからやたらと"ヌ"多くない?」


言った!!

皆が一斉に赤羽を見る

さっきから"ヌ"が気になり集中出来なかったが赤羽が言ってくれた

流石赤羽だ

それでも男は余裕そうでいた

侍の言葉遣いのようだからカッコイイから真似してみた、使い方が違うのなら貴様らを殺して使わないようにすればいい

結局は殺す気なのか


「スモッグがやられたことと貴様らがここにいる事をボスに報告し、増援が来たらお前らの終わりだ」


胸ポケットから無線を取り出す

ここで終わりかと思われた

がっ

赤羽が近くにあった観葉植物を手にし、窓に叩きつけたのだ


「ねぇおじさんヌ、もしかして中坊相手にビビってんの?つか、窓ガラスぐらいおじさんヌじゃなくても割れるし」


ニヤリ、と笑った赤羽


「つーか城戸、お前本当にさ、女子なんだから少しぐらいコッチに見せ場作ってくれよな」


納得して無さそうな撫子

簡単に言うと先に赤羽がしたことをしようとしたが止められ赤羽に奪われたのだ

本当にコイツは、と寺坂は撫子の手首を掴んで後ろで纏めていた


「いや、私でも出来るし」

「張り合わない張り合わない」

「城戸ちゃん本当にチャレンジャーだよね・・・」


これはヤバイ、と片岡と倉橋も止めに入る

たが、撫子が入らないところで赤羽が男と対峙しているのは変わらない

私よりあっちを止めないと、と思ったが殺せんせーはそうではないらしい

今まで上から目線で人を見下したような感じではなく顎を引いている

注意深く相手を観察している証拠

殺せんせーと何かあったのだろうか

成長しましたね、と殺せんせーは笑っていた

***

観葉植物植物を振り回す

交わし、手のひらを突きつける

また交わす

そんな攻防が続いていた

訓練の時の烏間の動きを見て覚えたのだろう

赤羽の動きに無駄がなかった

凄い、と息を飲んだ

だがこのままだと決着はつかないだろう

そしたら帰りが遅いあの男を気にして他のものが来るかもしれない

そんな時だ

男が何かをする、気がした

撫子は言葉を発しようとしたが、それに気づいた赤羽が目で制した

大丈夫だ、と

そのやり取りのすぐ、一瞬のうちに赤羽に纏ったガス

男は前の相手・・・スモッグのガスを所持していたのだ

そのままよろけた赤羽の頭を鷲掴む

皆が口々に卑怯だと言うが男は殺し屋だ

殺す為なら手段を選ばない

そんなことは殺し屋であれば当たり前だ

そう、当たり前なのだ


「よかったよ、本当にアンタが殺し屋で」

「!?」


赤羽側から突然ガスが噴射され、男がよろめき膝をつく

赤羽はハンカチで口元を抑え、笑っていた

ガスが当たりから無くなると殺せんせーの合図とともに男子達が男を取り押さえた


「いくら催眠ガスを吸ったからと言っても素手は危険だ、気をつけろ」

「な、ぜだ」

「ん?」


何故、素手以外を使うと分かったのか問う男

男は素手しか使わないと思い込ませるよう、あんな派手にガラスを割ったのだ

赤羽はニッコリと笑って答えた

アンタが殺し屋だからだよ、と

殺し屋だから、どんな手を使ってでも殺しにくると思っていた

だから、素手以外の全てを警戒していた、と


「助かったよ、城戸」

「・・・どういたしまして」


はい、とハンカチを返されポケットにしまう


「あ、これもしかして関節チュー?」

「まさか、ハンカチ3枚は持ってきているから大丈夫」


ほら、と腰に付けていたウエストポーチの中身を見せてみる

ジーンズ生地で、複数付いているポケットは青の迷彩が施されているすこし可愛らしいもの

だがその中に入っていたものは・・・


「絆創膏とか軍手とかは何となくわかるけど・・・」

「ストッキングに生理用ナプキン、ポリ袋?」

「万が一皆が怪我しても大丈夫なように、ナプキンは血を抑えるのに使えるし、ストッキングは伸びるからそれを固定するのに使える、竹林くんや奥田さんがいない今正直咄嗟の判断でその場にあるもので手当できる人いないと思うし」

「用意周到だね」

「頼もしいな」


でも、ナプキン使うのはなんかこう、アレだ、と男子達は怪我はしないと心に誓う

他にも色々あるみたいだがとりあえず先に進むのが先決なため、早く移動したかったのだが


「あれー?おじさんヌぅ、それで負われると思ってんのー?」


男は敗北を認め、そのまま薬の副作用のため、眠くなっていくままに眠ろうとしたのだが赤羽は違うらしい

寺坂が持っていたウエストバッグから巾着を取り出すと、赤羽はニヤリと笑う


「楽しいのはこれからじゃん」


巾着の中に入っていたのは辛子やワサビ、そして唐辛子などの刺激物

それらを男の口や鼻に詰め込むとそれらを抑え込むための道具を取り出しはめる

男の悲鳴をBGMに立ち去ることになったのだ

そんなBGMを聞きながら烏間が先程までの殺し屋のことを説明してくれた

以前の夏の暗殺特別講習でロヴロが3人の有望な殺し屋と連絡が取れなくなったとボヤいていたらしい

そのうちの2人が恐らく今さっきあった男達だろう、と言う

毒使いのスモッグ、そして素手で頭蓋骨すら割れる威力を持つグリップ

恐らく、3人目もここに・・・

皆が息を呑んだ

前へ次へ
戻る