最後の敵
緊急事態が起きた
起きたと言っても、まだ撫子と潮田の中にだけ、なのだが
現在、最上階の部屋まで続く廊下を歩いていた
横を歩いている寺坂をみると、不自然に息が上がってきていた
感じる胸騒ぎ
撫子は不安そうに見るが寺坂はなんとか平然を装うようにしている
撫子は気づいていた
寺坂がサービスドリンクを飲んでいたことを
同じように寺坂の体調の変化に気づいた潮田が心配そうにしていた
「この部屋が最後だ」
最後の一室
恐らく最後の敵はここにいるのだろう
緊張感が走った
作戦は至ってシンプル
気づかれないように近づき、取り押さえる
扉をゆっくり開けて中を確認してみると、大きな背もたれのある椅子で姿は確認出来ないが、運良く手元だけみえた
大柄な人の手
その手の横には何かのスイッチがあった
恐らく、あの正体不明の病のワクチンの入っている鞄やら箱やらに設置しているそれらを破壊できるもののスイッチ
皆が息を潜め、ゆっくり椅子に座る人物に近づく
そこで殺せんせーは無言でただ驚いた
ナンバ
右足と右手、左足と左手で同時に前を出し歩く方法
早くは移動は出来ないが、物音を立てずに行動するにはうってつけの歩行法だ
最近物音せず、隠密暗殺が増えてきたのはこのせいか、と殺せんせーは関心した
敵も気づいていない
このまま・・・
「あー、腹が立つ」
男が突然話し出した
顔の傷のせいでほんの少しでも物が動けば風でわかると
全員で来たことには驚いた、下の連中もつかえねぇ、と
「そ、んな」
小さな声で、驚愕の言葉がでた
バラバラと後ろに投げられたのはたくさんのスイッチ
取り押さえて、止めようとしても手元に沢山予備はある
さぁ、どうする、と椅子を回転させ正体を表したのは・・・
「た、かおか先生」
鷹岡明
かつてE組で体育教師を受け持ち、その凶悪性から潮田や烏間、結局はクラス全員に追い出された人物
「話は屋上に着いてからだ、もしその間に何かしようなら容赦なくコイツを爆破させる」
黒いケースを見せてきた
その中にワクチンが入っているのだろう
言うことを聞くしかなかった
「安心しろガキども、父ちゃんがちゃーんと教育し直してやるからなぁ」
その鷹岡の姿は、どこの凶悪犯よりも、殺し屋よりも恐ろしい顔をしていた
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