元通り
「綺羅々ちゃーん!」
ぎゅ、と抱きついてきた撫子をそっ、と受け止めた狭間
時刻は夕方
昨日の一件で皆ぐったりと眠りについていたためこの時間なのだ
「遊びたかったなー」
「帰るの明日の昼でしょ、まだ遊べるわよ」
「うーむ」
部屋でダラダラしているとノックされ、何だろうと出てみると立っていたのは片岡、矢田、岡野の三名
「どうしたの?」
「皆浜辺集合だって、でさ、そのまま遊ぼうって話になって」
「服の下に水着着ていこーって」
「おー!」
着替えたらすぐ行く!とドアを閉めて狭間に振り返る
「綺羅々ちゃん!!」
「はいはい」
眩しいばかりの撫子の笑顔に結局は勝てない狭間は、一緒に買った水着に着替え始める
もちろん、ラッシュガードは忘れない
「いくわよ」
「まってー!!」
バタバタと慌ただしく部屋から出ていく
そのまま外に出るとコンクリートの様なもので出来ている巨大な立方体のようなものが目に入った
先に来ていた磯貝に聞くとあの中に殺せんせーと対殺せんせーBB弾を詰めているらしい
それを寝ずにしじしている烏間は本当にバケモノだな、と思った
どことなく、それでもはっきりと
殺せんせーはアレでは殺せないと思っている自分がいた
「あ、爆発した」
呑気にそう言ってると、すぐ後ろに元に戻った殺せんせーがいる
あぁ、ほらやっぱりだ
「あーあ、これで終わりかー」
誰かが言った
「でも、まだ遊ぶ時間はあるよ」
そう言った片岡に続き、水着を中に着ていた女子は皆服を脱いで水着になる
残念だから伝達が届かず茅野は下に水着を着ていなかったようだが
「綺羅々ちゃん?」
「何?」
「いや、何してらっしゃるの?」
水着姿の撫子をスマホ片手に写真を撮っていく狭間
寺坂達は呆れたように見ている
「あ、はい、これ着て」
「はーい」
「三輪秀次がアンタのためにわざわざ購入したそれ着なさいよ」
"三輪秀次"と"わざわざ"を強調する狭間
恋愛話が大好きな女子にはうってつけだろう
「詳しく!!」
「え、わぁ」
無理矢理海の方まで引っ張られ、ダイブさせられる
バシャバシャと水を掛けられ、おかえしと言わんばかりにやりかえす
「いいなー!!先生もまーぜーてー!」
「えーい」
ばしゃ
倉橋がかけ、そこでハッとして殺せんせーは避ける
「先生水苦手なのに何するんですか!!」
「ちっ」
残念そうに舌打ちする面々から離れたところで狭間はまだ携帯を握っていた
「何してんだよ」
「三輪秀次に撫子の水着送ってんの」
「LINE交換していたのね・・・」
生で見られない悲しみを味わうがいい、と笑っていると撫子が呼ぶ声が聞こえたので寺坂に携帯を渡しようやく服を脱いで海に向かう
それをみて寺坂は撫子から托されたスマホを取り出し、2人の姿を写真におさめる
「何してんだよ」
「城戸に頼まれたんだよ」
「アイツらってお互い大好きだよなー」
「喧嘩とかすんのか?」
「俺見たことある、砂糖吐くかと思った」
「喧嘩で?」
「喧嘩で」
ぱしゃ、ぱしゃと写真を撮りながらも、2人が喧嘩している時を思い出してか目が死んでいく寺坂
あの時は本当に大変だった
「ま、そのうち喧嘩してるとこみることもあんだろ」
結構してるから、と寺坂は言って携帯をしまう
ただいまー、と戻ってきた撫子と後ろについてきた狭間にタオルを渡す
「なんか父親みてぇだな」
「やめろ、冗談でもそれはヤバイ」
「城戸が泣く」
「は?泣く?」
「泣く」
「な、泣かないよ!!」
「泣いたじゃねぇか」
あの場にいなかった村松は頭に?を浮かべ、一通り聞いていた狭間はあー、と納得した
ちょっとした言い争いは吉田の「じゃぁ兄貴でいいんじゃね?」という一言で落ち着いた
「お兄ちゃーんお腹空いたー」
「妹は家にいるうるせーのでじゅうぶんだー」
「お兄ちゃん」
「狭間お前もか!!」
仲いいよな本当に
寺坂グループをみて皆がそう思った
一方、東京・三門市
「秀次どうかしたのか?」
「よ、うすけ」
カタカタと口元を抑えて震えている三輪を不審に思った米屋が声をかける
携帯を覗き見てみると夕日に染まった海にいつぞやに買っていた水着を着ている撫子の写真
「!」
よし、と三輪から携帯を奪い取りそのまま待ち受けに設定する米屋
戻ってきた携帯をみて慌て始める三輪だが変える様子は見れない
「よかったな、秀次」
「!・・・あ、あぁ」
「今度は一緒にプールにでもいこーなー」
嬉しそうにうなづく三輪みて満足そうに頷く米屋
俺にも狭間ちゃんのこねーかなー、と思いながら携帯を眺める
米屋に写真が来ることはなかった
ちなみに
撫子が自ら海楽しいよ、と父に送ったメールを確認した正宗はただ黙って暫く添付されていた写真数枚を眺めていた
前へ|次へ
戻る