肝試し
「ペアは組みましたね!!」
夜、海岸沿いにある洞窟前に呼び出され、くじを引かされる
ちなみに撫子は村松とペアだ
「入口はここ、中は一直線であの出口に繋がっています」
指さしたのは少し離れたところにある洞窟
何も変哲もないただの肝試しだ
「って皆さん、なんかあまり怖がってないようですね?」
「まー、肝試しでしょ?」
「そんないないオバケにビビるほど子供じゃないよねー」
オバケ、もといオカルトに関してはうちのクラスは頼もしい
皆まったく信じたいない
狭間はいると思っているようだが、手懐ける気満々だ
そんな狭間をみて撫子は、わー、と気の抜けた声を出した
「さぁ!!次々いきますよ!!」
ちなみに殺せんせーは驚かせ役
先に洞窟に入っていった
次々と入っていくペアを眺めて、次は狭間と寺坂の番だ
その次が撫子と村松だ
「寺坂くん大丈夫?」
「なんかコイツと一緒だと本物出てきそうでヤバイよな」
「大丈夫だよ、私たくさん綺羅々ちゃんと肝試ししてきたけどだいたい綺羅々ちゃん締め上げてたから」
「そうか、頼もしい・・・は?締め上げてた?」
「うん、締め上げてた」
「・・・」
寺坂の顔がどんどん青くなっていく
どうしたのかなー、と村松を見ると村松も顔が青くなっていた
「え、何で?お腹痛い?」
「お前が脅かしたのが悪いんだろうが」
とう、とチョップを落としたのは撫子の次に洞窟を行く吉田
吉田のペアの原は苦笑いを零していた
「え、何で?本当のこと言っただけだよ?」
「お前本当にさ!!そういうやつだよ!!お前はそういうやつだよ!!」
ギャーギャー騒ぎだした寺坂の腕を掴み狭間は嬉しそうに突き進んでいく
寺坂の悲鳴が洞窟の中へ消えていった
「て、寺坂・・・」
「まぁ、ここにはそういう感じのはないし大丈夫だよ」
ね、と言って撫子も村松の腕を掴む
撫子はどことなく嬉しそうだ
吉田と原に助けを求めるが無駄に終わる
「城戸さん楽しそうだね」
「あー、うん、そうだな」
ホテルでの一件を知り、そこそこ付き合いの長い吉田にはどちらかというと今襲いかかっている不安から目をそらしているようにみえる
ファザコンも行き過ぎるとめんどくさいな、と吉田は思った
***
「楽しいねー、肝試し」
「今んとここの薄暗い凸凹道と遠くから聞こえる何故か殺せんせーの悲鳴だけだけどな」
撫子と村松はどんどん奥まで進んでいく
足場が悪いと撫子が村松の手を引き、危ないよ、と声をかけていた
「なー、城戸さんや」
「え、なに?」
「逆じゃね?」
今も撫子は殺せんせーが仕掛けたであろうこんにゃくが降ってきたのを庇っていた
「病み上がりなんだから無理はダメだよー」
「まったくもって無理するところがねーよな、これ」
ホラーらいしホラー要素が全くない
むしろ先に入った狭間にビビった殺せんせーは完全に2人を無視して通り過ぎたのだ
驚く暇もなかった
「殺せんせー何か仕掛けてるかもじゃん?」
「別に引っかかったところでなんもねーだろ」
「わかんないよー」
前へ前へと進んでいく撫子の背中に、村松はため息を吐いてから言葉を投げかけた
「お前、皆がぶっ倒れたこと気にしてんの?」
撫子の足が止まる
図星か、と村松は呆れた
「んなのお前が気にしても仕方ねーだろ」
「そうかもだけど」
「じゃぁもう考えんな!」
「でも、私が一言でも何か言ってれば」
「別に何も変わってねぇって!!お前のせいじゃない、お前は何も悪くない」
ばしん、と撫子の背中を叩きここぞとばかりに前に出る
後は寺坂から聞いたあの事だろうか、と村松は頭をかく
「あー、あとさ、親父さんのことなんか思う節あんならテキトーに飯でも作って親孝行でもすればいいんじゃねぇの?」
「え」
「お前の腕は確かだからな!!うちの店にバイトに来て欲しいぐれぇだし」
「村松くんのところはちょっと頑張らないとだよ」
「じゃぁ手伝い来いや!!」
撫子に突っかかりに行く村松
もう凹んでいるようには見えない
うちの末っ子は本当にめんどくさい
めんどくさいけど可愛げあるんだよなー、と村松はしみじみ思っていると・・・
「村松くん!!?」
視界が反転した
「あ、やっとき・・・」
「は・・・」
先に出口についていた寺坂、狭間は二人揃って口を開けて凝視する
村松を横抱きにし出てきた撫子
転んで足をくじいた村松を連れてきたようだが村松はもう恥ずかしさのあまり手で顔を覆っていた
「あ!綺羅々ちゃーん!」
「アンタ最高ね」
写真を撮るのは忘れない
寺坂も笑いを堪えきれずに肩を震わしていた
「最高かよ!!」
「うるせぇ!!降ろせ城戸!!」
「足くじいてるじゃん、ダメだよ」
「この体制がダメなんだよ!!」
吉田、原が戻ってきたところで漸く撫子は村松を下ろす
一番最後に出てきた烏間、イリーナペアはというと、同じく足をくじいたイリーナを烏間がおんぶして出てきていた
「俺もおんぶの方がまだ気が楽だった」
「男の人おんぶすると腰あたりに違和感あんだよね、何で?」
「大変申し訳ございませんでした」
「女子は?」
「スカートの中見えちゃうかもじゃん」
「なるほど」
何となく、いたたまれなくなる寺坂達だった
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