気づきたくない意図
殺せんせーには生徒の体育祭での功績の褒美にイタリアでジェラートでも買ってこいと追い出し話が始まる
烏間の話の内容を簡潔にまとめるとこうだ
"3週間以内に我々ボーダーは総攻撃をしかける"
3週間以内と言ってもいつかはわからない
カレンダーを確認すると一つ、あることに気づく
再来週の木曜日、金曜日で中学テストが行われる
この学校はど土日のうちに教師が採点し、月曜のHRでテストはすべて返却するようにしているのだ
そして、E組から元のクラスへと編入するための救済システム
それは理事長とそのクラス担任が許可を出してしまえば遅くても一週間、早ければ1日で決定してしまう事ができる
もし、撫子をE組から元いたA組へ編入させ、その上で総攻撃となったら・・・
ボーダーの攻撃は生身の人間に当たっても怪我をしないよう安全装置がついている
当たっても気を失う程度の痛みを感じるだけで死にはしない
恐らく、トリオン兵を食べている殺せんせー(仮)は何かしらトリオンで補われている部分があると考察し、安全装置を外さなくとも殺せると踏んだのだろう
責めてもの情なのだろうか、娘には巻き込まないように、と救済システムを活用してからの総攻撃なのだろうか
父親の意図が、分かってしまった自分が憎い
「生身の人間に害はない、多少痛みは伴うが君たちには標的を引き止めるために普通に授業を受けていてほしいらしい」
「別に・・・それはいいけど・・・」
「何か横取りされる気分だね・・・」
でも、国の決定なら仕方ない、と皆がしぶしぶとうなづく、前に撫子は烏間先生、と声を出した
「人が気を失う痛みは、多少と言うのでしょうか」
「・・・何?」
「それに、恐らく遠距離・中距離からの攻撃になると思います、校舎が半壊、最悪全壊になる可能性だってあるんですよ」
私は、それは嫌です
父親と反する意見を示した撫子に、狭間は正直驚いていた
普段なら納得せずとも"これで父の仕事が楽になるなら"と 了承する撫子なら黙っていただろう
撫子の反発
しかも、クラスを巻き込んで
「気を失う、というのは聞いていない、ガセではないのか?」
「この目でしっかりと確認しています、間違いありません」
「・・・城戸」
いくら父親が司令官でも、という言葉は飲み込んだ
そう簡単に言っていい内容ではない
撫子自身の言葉ではいえ、不信感を抱いてしまった組織の司令官の娘となれば疑いの目が来るのではないか
それをみたイリーナは何時ぞやの殺意に塗れた男の視線を思い出した
今でも思い出せば震えが止まらない
目的の為ならばどんな事だろうと厭わない
あの男は、それだけ娘のことを・・・
「あの、ボーダーと話す機会を作る事は出来ませんか」
「磯貝・・・」
「それで、ちゃんと詳しい話を聞いて、こっちに危害があるようならキチンと解決してもらうよう話し合う、な?そうしよう?」
クラスをまとめる、というよりは撫子に言い聞かせるという方が正しいような言い方
クラスも皆、撫子を心配しているように見ていた
「・・・わかった」
しぶしぶ、と答える撫子にほっ、と安堵の息が漏れる
明らかに様子のおかしい撫子
「おや、皆さんどうかしましたか?」
窓から入ってきた殺せんせーに皆一斉にため息をついた
国の意向により殺せんせーにこの事は言えない
修学旅行の時みたいに事前に内容を伝えたことにより(伝えなくとも結果は変わらなかっただろうが)狙撃手の狙撃を避けられてしまったからだ
警戒されないようにするためには、せめてもの抵抗で黙っていることしかできない
「殺せんせーがジェラート買ってくるの襲いから待ちわびてたんだよー」
「にゅや!?それは失礼しました!」
「ジェラートジェラート♪」
倉橋と矢田を中心にクラスの雰囲気を盛り上げる
「はい、城戸ちゃん」
「ありがとう」
倉橋に渡されたチョコレート味のジェラート
撫子は黙ってそれを食べ始めるのだった
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