悪は闇を見逃さない
ボーダーとの話し合いはテスト明けの月曜・・・テスト返却日となった
昨日の今日でボーダーが作った時間は期日のギリギリである
こっちの意見は聞く気はないのだろう
なら、後はもう撫子がテストで50位に入らないという手段しか残っていない
だが、撫子自身テストに手を抜きたくない
そもそもクラス全員が皆やる気を出して取り組んでいるのに自分だけわざと負けに行くなどできない
どうしよう
そんな撫子を見かねてか、殺せんせーが話しかけてきたが、計画のことなど殺せんせーには話せない
計画なしにして、この話は出来ないだろう
撫子は笑顔を作り、何でもないよ、と言ったのだ
だが、強がったところで何も変わらない
トボトボと1人歩いていると急に声を掛けられた
「悩み事かい?」
「え」
花束を抱えて、笑顔を見せる青年
どうやら移動の車で販売する花屋のようだ
「ごめんね、もの凄く思いつめているようにみえたからさ」
「はぁ・・・」
「よかったら話してみない?何も知らない方が話しやすいこともあるし」
「・・・実は」
このむちゃくちゃした感情を吐き出せば、楽になる
撫子はそう思った
見ず知らずの男でも、誰でもいい
ぶちまけたかった
だから、頭の中で鳴り響く、普段なら一番重要視するだろう"警告"を無視したのだ
「そうか、それは辛いね・・・」
殺せんせーや、暗殺などの事は何とかはぶいて、ぶちまけた悩み
隠さないといけないことがありすぎて、支離滅裂になった会話をただ黙って聞いてくれた青年は、静かに撫子の背を撫でた
撫子は涙を流していたのだ
「すみません、迷惑掛けてしまいました」
「気にしないで、大丈夫だから」
青年は撫子の頭を撫でてやる
ドキドキと高鳴るそれに、撫子は正直驚くが、今は平然を装おうと必死である
「僕もね、大好きな人に見てもらいたいって気持ち凄くわかるも」
「え・・・」
「僕も、見て欲しかったから」
ぎゅぅ、と握りこぶしを作る青年の表情は悲しみに歪んでいた
もしかしたら家族や恋人と、何かあったのかもしれない
「ねぇ君、またおいでよ、最近は僕このあたりで仕事しているんだ」
「え、でも、迷惑では・・・」
「じゃぁ、友達になろう、はい」
差し出された花束に、いつの間に用意したんだろうか、と驚く
友達になった記念だよ、と笑う青年に撫子はタジタジと花束を受け取る
男の人から、花束など初めて貰うのだ、当然だろう
「名前、教えてもらえるかな?」
「私、城戸撫子です、お兄さんは・・・」
「すみませーん、この花なんですけど」
「あぁ、はい!今!ごめんね撫子ちゃん、お客さんだ」
またね、と優しく手を振る青年に、撫子は忙しそうだと判断し頭を下げてその場から去る
また、会えるだろうか
貰った花束をぎゅ、と抱え、家へと向かうのだった
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