全校集会

週の最後である今日、月に1度の全校集会の日だ

我らがE組は5時間目にある集会のために昼休みを使って山の上にある校舎から本校舎の体育館へ移動する

今日は周りでハプニングがあるのか騒がしい

そういう撫子も例外ではなく、一緒に行動していた狭間、寺坂、村松、吉田と一緒に転がり落ちてくる丸い岩から逃げていた


「何あれ何あれ何あれえええ!」

「寺坂ぁ!お前変なとこに寄っかかるから!!」

「俺のせいじゃねーよ!!」

「も、無理・・・」

「綺羅々ちゃーん!!」


倒れそうになった狭間を撫子が支え、寺坂が担ぎ駆け下りていく

そして何処からともなく現れた岡島の方に転がっていくと、ふう、と息をついた


「なんか、岡島大丈夫か?」

「蛇絡まってなかった?」

「とりあえず、助かったぜ」


思いっきり走ったため、ある程度時間に余裕ができ、残りは歩いていけた

クラス委員の磯貝の掛け声のあと、皆が彼をおい、体育館に入って整列する

全校生徒がE組を避けずむのはこの場でも変わらない

所々から聞こえる悪口、暴言に顔を曇らせるクラスメイト達

ふと、他の面々より顔を下に向けている事に気づいた倉橋が気になったのか声をかける


「城戸さん城戸さん、もしかして案外傷ついて・・・」


ひょい、と顔をのぞき込む


「すー・・・すー・・・」


寝てた

この全校集会、もちろん寝ていることがバレたら罰則を受けるが集会中はずっと立っているためか多分寝たことのある生徒はいないだろう

だが、撫子は器用にも立ちながら寝ているのだ

倉橋は何も見なかったことにし、後ろにいる中村に声をかけたのだった

***

暫くして突然肩を叩かれ、目が覚めると苦笑いをしながら前の神崎にプリントを渡される

見ると手書きのプリントの裏にはデカデカと寝ないように!と書いてあった

せっかく心地よく寝ていたのにあのタコは

撫子は顔を顰めて黙って話を聞く

しばらくすると、全校集会事態が終了し、特別校舎に戻るべく外に出る

今日はもうHRで終わりだ

撫子は足取り軽く山を登っていく

が、現実は甘くない

全校集会で寝ていたことに対してのプリント10枚という罰を受け(HRで言われた時、皆の顔が信じられないものを見たかのような表情になっていた)仕方なくやって帰る(監視付き)

先に帰ると言った狭間は、待ってと言う撫子の叫びをBGMに帰っていったし今日はぼっちだ

プリントを始めて二時間でなんとか終わらせ、帰宅するため本校舎昇降口を出る


「城戸撫子」


声をかけられた

振り向くと目付きの鋭い黒髪の少年がいる


「・・・覚えてないか?」

「えー、と」

「三輪だ、三輪秀次」


三輪秀次と名乗った少年の名前に心当たりはあった

だが目の前の少年と噛み合わない


「その、記憶が正しければ保育園、小学校と一緒だった秀次くん?」

「あぁ」

「あー、なんか雰囲気変わったね」

「・・・いろいろ、あったからな」


視線を逸らした三輪をみて、これ以上は踏み込まない方がいいな、と判断

そのまま立ち話もなんだから、と引っ張られるように連れてこられた喫茶店に入る


「何か頼むか?」

「あ、じゃぁダージリンティーがいいな」

「すみません、ブレンドとダージリン、あとは・・・城戸・・・撫子・・・さ、ん」

「好きに呼んでよ」

「・・・撫子はケーキとかは食べるのか?」

「うん」

「じゃぁオススメのを一つ」


店員に一通りつげると撫子の方に向き直る


「久々だねー」

「小学校卒業以来だから、もう2年は過ぎてるな」

「なんか三輪くん大人っぽくなったよね」

「秀次でいい」

「?」

「ずっと、秀次くんって呼んでくれてただろ?」


俺も撫子と呼ぶ、と付け足されると断れない

もともと断れない質なのかわかった、と応えると三輪は安堵の息をついた

注文したものが届くと置かれたケーキを撫子に差し出す


「いいの?」

「あぁ」

「なんか秀次くん女の子の扱いなれてるね」

「知り合いに、言われただけだ」


撫子に会おうとした時散々からかわれたことを思い出す


「ところで、何でいきなり?学校教えてたっけ?」

「あぁ、そのことなんだが」


三輪はスッ、と撫子の生徒手帳を出した

***

「無くしたと思ってたんだ!ありがとう」

「構わない」

「わざわざこのために?」

「いや、少し聞きたいことがあった」


よかったー、と生徒手帳を鞄にしまう撫子

三輪は言葉を続けた


「一週間ぐらい前、近界民に接触しなかったか?」

「へ?」

「近界民が何かは?」

「知ってる、私も三門市民だもん」


一週間前

狭間と遊んだ帰りの時だ

確かに近界民に出くわした


「えっと、近界民でる空間みたいの見えたから急いで逃げたよ」

「そうか、ならいいんだ」

「なんで、急に」

「生徒手帳のあった所が、近界民に塞ぎこまれているような場所にあった、逃げ切るには運がよかったかかなりの運動神経の持ち主のものと思ってな」


撫子は運が良かったんだな、と安心したように呟く三

撫子は冷や汗を流しながら問う


「秀次くんは、何でそんなこと」

「ボーダーに所属しているんだ」


ボーダー

撫子の父が組織している機関だ

ザワザワ、と自分の中の感情がざわつくのがわかる


「ごめん、秀次くん」

「?」

「帰る」

「え、」


撫子は二千円をテーブルに置くと急いで店をでる


「撫子!!」


三輪も立ち上がり、レジでお札を数枚出し出ていく

撫子の出した二千円は握りしめた

お釣りという店員の声に入らないと返し、撫子を探す

みつからない


「どうしたんだ」


また、時間が出来たら会いに行こう

そして、いなくなった理由を聞こう

三輪がいなくなる様子をとある家の屋根の上から伺う撫子

三輪がいなくなるのを確認すると、撫子も家に帰っていく

そして


「みた?」

「みたみた」


たまたまその喫茶店に居合わせた片岡、岡野、矢田、倉橋の四人


「喧嘩?」

「というか、他校生だよね?」

「彼氏?」


いろいろと誤解の含んだ会話が、喫茶店で続けられたのだった

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