進路希望模索中

「綺羅々ちゃんって将来どうするか決まった?」

「ざっくりとだけどね、物書きもいいかなって思うけど私図書館の司書とかやりたい」

「おー!!似合う!」

「そういうアンタは?」

「私はやっぱりボーダーの、お父さんの役にたてることがしたいな・・・もうこれお父さん次第だけど」

「何本人の目の前で本人に聞こえるように言ってるんだお前らは」


現在学校が終わり、撫子と狭間は撫子の家で本日の宿題を片付けていた

本日休みで家にいた正宗がいるリビングで


「というかお前・・・諦めてくれたんじゃなかったのか」

「あの時はとりあえず場をおさめようと思いまして、女は簡単に言ったことを変えるものだってお母さん言ってたよ」

「そんなこと・・・あるな」

「ちょっとどこ見て言ってんのよアンタ」


遠い所を見はじめた正宗にツッコミをいれつつ話題はやはり将来の話

なんかやりたい事ないの?と問いかける狭間に撫子はうーん、と考え始めた


「映画とかのスタントマンとか?」

「運動神経とかいいし受け身習ってるしいけそうかもね」

「ダメだ、怪我したらどうするんだ」


正宗の横槍に二人で一回正宗をみる

正宗はコーヒー(撫子が淹れた)を優雅に飲んでいた

仕切り直そうと他にやりたい事はないか考える


「あ、刑事とか?」

「事件捜査とかするの?それはちょっと心配ね」

「下手したら殉職だろ、ダメだ」


二人で正宗を見た後また互いに目を向ける

正宗は雑誌(撫子が買ってきた)を読んでいた


「アンタ家事とか得意でしょ、家政婦は?」

「ダメだ、こんな可愛い家政婦がいて何か間違いが起こったらどうする」

「・・・私も別に家政婦やりたいほど家事好きではないしな」

「じゃぁいっそのこと結婚とか?ボーダーのスポンサーって結構いいとこのボンボンとかいんでしょ?玉の輿狙っちゃいなよ」

「いいねそれ!!人生薔薇色じゃ・・・」


ガタン

大きな音を立てて椅子から立ち上がった正宗

撫子と狭間は黙って正宗を見上げる


「け、結婚なんて話になるほどの男がいるのか?」

「いや、いない」

「その歳でもう結婚願望があるのか?」

「まったく」

「なら、ちょっとお父さんの前でそんな話は控えような」


椅子に腰掛け、コーヒカップを手に持つが手の震えで中が零れそうである

この場に寺坂達がいたのなら「うわー、ないわー」ぐらいの反応を見せてくれたかもしれないが生憎今は撫子と狭間だけ

二人共見なれたせいか「テンプレ反応ありがとうございます」ぐらいにし思っていない


「・・・少し明日の整理をしてくる」

「はいはい」

「あ、今日のご飯何がいい?」

「そうだな・・・」


考えた後、じっと撫子を見つめ出す

なんだいきなりと、黙って見返していると正宗は口を開いた


「今日は外に食べに行こう、好きなものを考えてなさい」

「え?いいの?」

「あぁ」


ボーダーが公になってから、正宗と二人での外食の回数はめっきり少なくなったと思う

外食が嫌いな訳では無いが人々が悲しんでいる中自分だけ幸せに浸るのはいかがなものかとでも思っていたのだろう

撫子が何にしようかなー、と嬉しそうに考え始めたのを見てから正宗は自室に戻った


「・・・行った?」

「行ったわね」


先程までお花を飛ばしていたような撫子はどこへやら、キリッとした表情で互いに顔を見合わせる


「お父さん今日休みとか聞いてないんだけど」

「父親の予定知らないとか珍しいこともあるのね」

「せっかくどうやってボーダーに入ろうか考えようと思ったのに」

「小南のお陰で書類は全部揃ったたから後は保護者のサインね」


狭間は既にサインを貰っている

寺坂もそうなので最後は撫子だけである

最大の難所だがどう切り抜けようか

今日はその話をする為に本来なら寺坂達も含めて撫子の家に来る予定だったのだが、普段ならない正宗の車があるのに気づき急遽帰ってもらったのだ

学校にずっと入り浸るのは申し訳ないがこれからは放課後残って相談してみようか

はぁ、とため息を吐く


「まぁ、締切はまだまだ先だし明日またかんがえましょう」

「そうだねー」

「じゃぁ、私は帰るわ」

「え?帰るの?」

「親子水入らずを邪魔するほど野暮じゃないわよ」


荷物を片付けて立ち上がる狭間

撫子も続いて立ち上がり玄関まで見送る


「何だ、帰るのか?」

「お邪魔しました」

「また明日ね」


物音に気づいて出てきた正宗も部屋から顔を覗かせる

ボーダーの司令だかなんだか知らないが、目付き顔つきが変わってもこの親子はこういう所は昔と変わらないな、と狭間は思う


「うん、また明日」

「送らなくて大丈夫か?」

「まだ明るいから平気よ」


昔と随分雰囲気の変わった正宗に対しても敬語を使わないのはもう意地な気がする

撫子の幼馴染で親友なのだから、その父親が変わっても普通でいるべきだ

あの日初めてこうなった正宗を見た時にそう決めた

何で今思い出したかはわからないが、中身はまったく変わってないものだと笑った


「じゃ、本当に帰るから」

「うん、じゃぁね」


玄関を閉めて外の空気を吸う

そろそろ肌寒さすら感じてきたが今日は気分がいいのであまり気にはならなった

前へ次へ
戻る