2023/05/03(Wed)
いつもの下町の見回りを終えた帰り道、水道魔導器の近くでうずくまる幼馴染の姿を見つけた。少しでも騎士っぽく見えるようにと、ある日ばっさり切ってしまった長い髪。下町では珍しく蝶よ花よと育ててきたからかじいさんたちも突然の変貌にかなり驚いていた。そういや今日は騎士団の入団試験だって言ってたな。朝から緊張した面持ちで城へ向かっていく背中を思い出す。
……まあ、結果はこいつの様子を見るに一目瞭然だが。
「お疲れさん。入団試験、どうだった?」
「……また落ちた」
小さく呟いたかと思うと勢いよく立ち上がったこいつは眦を吊り上げて詰め寄ってくる。いくら女らしく可愛がってきたとしても結局は下町育ち。本質はオレらと変わらない。今にも噛みついてきそうな勢いで口を開いた。
「こんなに落とされるのおかしくない!? 今回は試験の途中で喧嘩もしなかったんだよ!」
「普通は試験の途中で喧嘩はしねえんだよ……」
「あれは貴族のやつらに下町を馬鹿にされたからでっ! 実技だってそこそこいいところまでいったのに。それなのになんで私は騎士団に入れないの?」
「……それは、」
「教えてよユーリ。私に何が足りないの?」
「それなら逆に聞くけどどうして君はそこまでして騎士団に入りたいんだい?」
背後から聞こえたフレンの声にこいつは驚いたように肩を震わせる。おそらくこいつの様子を見に来たんだろうが相変わらず厄介な聞き方をする。
フレンの問いかけにこいつは何も答えない。フレンの力になりたいから、なんて言えるわけがなかった。
「それが答えられないなら君はずっと騎士団には入れないよ」
オレは知っている。実力も器量もあるこいつが騎士団に入れないのはフレンが一枚噛んでいるからだ。
絶対に騎士団に入りたいこいつと絶対に騎士団に入れたくないフレン。さっさと本音を言ってしまえばいいのに本当に面倒奴らだなと常々思う。
幼い頃からずっとこいつらは面倒な幼馴染の関係を貫いている。
めんどくさいひとたち TOV/フレン・シーフォ
top
