"せめて黒子君がいてくれたら…"

リコのその言葉を受け、不意に立ち上がった黒子。

フラフラしながら歩く彼を、リコとスズは必死に止めた。


「じゃ、行ってきます。」

「いやいやいや、何言ってんのダメ!ケガ人でしょ!てか、フラついてるじゃない!」

「? 今行けってカントクが…ね、スズ?」

「いや、カントクそんなこと言ってないから!」

「そうよ、言ってない!たらればがもれただけ!」

「…じゃ、出ます。」

「「オイ!」」


揃ってそうツッコむ女子2人に、黒子は淡々と続ける。

"自分が出て戦況が変わるなら、出して欲しい"と。

そしてダメ押しにこう言った…


「…それに約束しました。火神君の影になると。」


黒子の言葉にリコは戸惑いを隠せず、スズの方を見る。

彼といつも一緒にいるスズは、こうなっては黒子を止めるのはムリだと悟ったようで、苦笑しながら首を左右に振った。

そしてリコは溜息を1つ落とし、判断を下した…!


「わかったわ…!ただし、ちょっとでも危ないと思ったらスグ交代します!」





第9Q「約束しました」





黒子が選手交代でコートに入ろうとしていた頃…

2人の男子高校生が、海常高校へと向かっていた。

自転車とリアカーがくっついた"チャリアカー"なる乗り物を漕ぐ青年と、その乗り物のリアカー部分に乗り、優雅におしるこ缶を飲む青年だ。


「くっそー!信号待ちで交代ジャンケンなのに…まだオマエ1回も漕いでなくね!?」

「そんなの…当然なのだよ。なぜなら今日のおは朝の星座占い、オレのかに座は1位だったのだから。」

「関係あんの、ソレ!?つーかわざわざ練習試合なんか見る位だから、相当デキんだろな、オマエの同中!?」

「マネッ子と…カゲの薄い子だね。」

「それ強いの!?」

「それより早く!試合が終わってしまう!たぶんもう第4Qだよ!」

「オマエが占いなんか見てたからだろが!!」


そんな会話をしながら、学ランを身にまとった2人は着々と道を進む。

彼らは今後、スズと大いに関わることになる人物である。

だが今はまだ、互いに名前はおろか顔すら知らない2人とスズ…

ファーストコンタクトは、もうすぐ…!



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