本土から離れた島・鬼門島…通称"鬼ヶ島"。

その島の中心に、鬼のための学校"羅刹学園"が建っている。

学園内には様々な施設があるが、中でもひと際大きな訓練場から、女子の元気な声が聞こえてくる。





第1話 鬼の血





「ほっ…!よしっ!…うわっ!!」

「油断するなと何回も言ってるだろ」

「ぐへっ。ちょっと喜んだだけなのに…」

「その"ちょっと"が命取りになるんだ。…5分休憩」

「あ"ーづがれだー…先生、強すぎ…」

「当たり前だ。…だいぶ動けるようになってきたな」

「本当ですか!やった、褒められた…!」


そう言って、疲れながらも笑顔を見せる少女…名を木下スズという。

2時間程前から、"先生"と呼ばれる人物を相手にこの訓練場で体術の稽古をしているのだ。

うつ伏せに倒れ込んでいるスズの横には、床に座り、余裕の表情で水分補給をしている男性がいる。

黒髪短髪で右頬に2本線のタトゥーが入った彼こそ、スズが"先生"と呼んでいる人物…名を無陀野無人。

自分の言葉に嬉しそうな顔をしているスズの後頭部を、無陀野はポンポンと優しく撫でた。

彼の表情はどんなことがあっても基本変わらないが、今この時は心なしか穏やかな雰囲気である。


「5分だ。続き始めるぞ」

「ひょえ〜5分早っ。でも…頑張るー!!」


元気な声で気合いを入れながら立ち上がったスズは、再び無陀野と向かい合う。

だが両者が動き出そうとした瞬間、突然無陀野の動きが止まる。

そしてこちらに向かってこようとしていたスズを止めるように手のひらを向けると、彼はポケットからスマホを取り出した。


「……分かった。すぐに向かう」

「無人先生…?」

「スズ、悪い。特訓は中断だ」

「何かあったんですか?」

「近くで鬼の血液反応が出たらしい」

「鬼の血…!新しく目覚めた人でしょうか」

「かもな。一応入試用の一式を持ってく」

「了解です!カバン持ってきます!」


スズと無陀野が出会ったのは約1年前。

それからいろいろとあり、彼女は秘書のような役割を担い、日々無陀野のサポートをしている。

"1"言えば、"10"動いてくれるスズの存在は、彼にとって大いに助けとなっていた。



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