合格となれば、今いるこの場所や学園のことについて説明する必要がある。
無陀野の行動を先読みしたスズは、先程までのやり取りですっかりボロボロになったホワイトボードを示しながら話しかけた。
「先生、ボードは使えませんからね」
「…効率的に口で説明するぞ」
「じゃあ私、入学準備整えてきます!」
「あぁ、頼む」
「はい。少年、名前だけ先に教えてくれる?」
「四季!一ノ瀬四季!」
「四季君ね、了解!…いい名前だね!」
明るい笑顔でそう言って、スズは小走りで部屋を後にした。
そうして彼女を見送ると、無陀野は簡潔に話を進める。
ここが本土から離れた島であり、その中心に鬼のための学校があること。
この羅刹学園は普通の学校とは全く違い、桃太郎機関に対抗するための訓練をメインとした軍隊学校であること。
担任は自分であり、寮に入って訓練を積み、いずれは桃太郎と戦ってもらうこと。
「俺は強くなれるのか…!?親父殺したあいつをぶっ殺せるくらい強く…!」
「お前次第だが、そーなってもらわなきゃ退学だ」
「強くなれんなら願ってもねぇ!学校でもなんでも入ってやる!」
力強くそう言った一ノ瀬の目は、やる気に満ち溢れていた。
同期のそんな姿に、事務的な手続きを終えて戻って来たスズはまた楽しそうな笑顔を見せる。
「大丈夫だったか」
「はい、バッチリです!制服もちょうどいいサイズのがあるそうなので、あとで受け取ってきます」
「助かる」
「なぁなぁ!俺、天使と同じクラスがいいんだけど!」
「1クラスしかないから必然的に同じクラスだ」
「よっしゃ!」
「ちょっと待って。さっきから気になってたんだけど、私のこと天使って呼んでくれてる?」
「おう!だってお前天使じゃん!」
「ううん、天使じゃない。鬼だよ」
「…あの工事現場でお前が親父の血とか拭いてくれてたとき、俺にすげー優しい顔で笑いかけてくれただろ?そんときに、天使って本当にいるんだって思ったんだ」
「!」
「だから誰が何と言おうと、俺にとっては天使なんだよ」
「あ、ありがとう…!で、でもさすがにそれでずっと呼ばれるのは恥ずかしいから、出来れば名前で呼んで欲しいかな」
「そっかぁ…本当のことなんだから別に恥ずかしがんなくていいのに。でも分かった!スズって呼ぶように頑張る!」
「(頑張らないと呼べないんだ…!)う、うん!お願いね!」
いろいろな意味で初めてのタイプの鬼…一ノ瀬四季。
これで今年の新入生が全員揃ったことになる。
さぁ、学園生活の始まりだ。
to be continued...
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