「クッソ、怖ぇなもう」
テュルキースバルトの討伐依頼を受け、やって来たはいいがマネルとやらの擬態が見抜けずにいる。さっきは普通の住民に殴りかかってしまってひどく叱られた。怒るのはわかるが、俺たちだって万能じゃ無いしあそこまで言わなくても……と不満に思いながらもその場からすごすごと逃げた。
本当は街中にいるマネルから殴り殺そうと思っていたのだが、俺には向いていなかったらしい。他の生徒に任せて鬱蒼と茂る森の方へと歩を進めた。
案の定、事前に伝えられている魔物に関する情報はほとんど分かっていない。なんか人の真似する魔物と、人の怖いものになる魔物がいる程度だ。別に全員殴れば死ぬから関係もないだろう。
森に入って少し。周囲は空の天井まであるのではないかと思えるほど高い
「お、早速か」
街の中では住居や店があったせいであまり激しく暴れられなかった。ここなら適度な足場もあれば邪魔する人やものもいない。散々暴れてやろうじゃねえか。
目の前に現れた、すっかり俺と同じ顔した三体のマネルを見据える。姿形はすっかり俺だがその戦闘力はほとんどないだろう。見ればわかる。
まっすぐ正面から突っ込む。真正面にいた俺の腹にまず持っていた鉄パイプを突き刺した。息を飲む音と、内臓が潰れる音が直に聞こえる。鉄パイプは体を貫通はせず、それでもしっかりと腹に突き刺さった。引き抜くと血が噴き出す。そのままの状態で背中から倒れ、俺の姿は猿の姿に戻った。
右手から迫ったマネルの横腹を思い切り殴る。体を折ったマネルの後頭部に両手で振り上げた鉄パイプをのめりこませた。鈍い音がしてマネルはうつぶせに倒れ、姿を元に戻した。
最後の一匹のマネルが背後に近づいていたのだろう、俺の腕を背後から羽交い締めにした。力はそこまで強くない。やはりコピーできるのは俺の姿だけなのだろう。
「ぬるいんだよバーカ」
がっしりと掴まれているのをいいことに、体を勢いよく前へ倒した。背後にいたマネルはそのまま前のめりに落ちる。頬がにやけた。ガラ空きになったみぞおちめがけて思いきり鉄パイプを振り落とした。ドス、という音とともにマネルの姿が変化した。
三体のマネルの死体を適当に集め、その場に放置して先へ進んだ。獣の餌くらいにはなるだろう。
「なんか蹂躙してるみてぇ」
ポツリと呟いても今日はうるさいデルタを置いて来たため、答えてくれる人はいない。ほぼ無抵抗の俺……まぁ俺ならいいか。自分で自分を殺すことに抵抗はない。以前、同様に人の容姿をコピーする魔物と戦ったことがあった。魔物棟で訓練でもしようとした時……レイと一緒に。あの時も俺は躊躇なく俺の姿をした魔物の頭を殴ったし、レイは俺の体に刃を突き立てた。つまりそういうことだ。お互い……いや、少なくとも俺は。相手がどんな姿をしていても敵なら殺すことくらい簡単だ。……きっと。