「
クオリアに陽動させてできる限りのマネルを一箇所に集中させた。必要なのはクオリアに意識を集中させること。足元の土の動きなど気にならないようにさせること。
クオリアが好き勝手暴れている間、そこによっていくマネルたちの戻る道を阻むように土を少しずつ削いでいった。物理的に入らないのであれば無理やり入れればいい。それでも多少の取り残しはあったが、贅沢は言っていられない。
運よく集まってくれたマネルたちの足元の土を根こそぎ奪い去った。突如足場をなくしたマネルたちは状況を把握しないまま穴に重なって落ちていく。あの状態から体勢を立て直すのはきっと難しいだろう。
「
溜め込んでいた土を一気に出現させる。これだけあればあの大穴も塞げるだろう。土を滑らかに直上に上がり、直後。
「
穴を塞ぐように土が魔力を失ってかぶさる。地中に入っている土ごと魔力を込めて中のマネルを押しつぶしていった。あまりにも範囲が広すぎて両手を使ってもすぐには押し潰せなかった。圧倒的質量に対抗するため必死で腕を縮めていく。今あの穴の空間は俺の腕の中にある。これを全て潰せばあれだけいたマネルも残り数体になるはずだ。
ひたいに汗がにじむ。クオリアの足場となっていた土の魔力も切れかかっている。察したのか否か、彼女は足場から飛び降りてこちらへ走ってきた。もちろん、その途中にいる溢れたマネルを殴り殺すのを忘れずに。
「大丈夫かよ……」
その言葉に返事をすることもできない、歯を食い縛る。ギリギリと音がした。腕力はあげたはずだ。このくらい、できなくちゃ意味がない。こいつの目の前で恥を晒すわけにはいかない。
最後の力を振り絞って腕を閉じた。形容しがたい音が響いてつっかえていた何かが折れた。土の間から血液が吹き出す。これでなんとか、中のマネルはあらかた死んだだろう。
「すげぇな……こんな……」
ぽかんとその光景を見ていたクオリアがポツリと漏らした。土から魔力を抜くと制御を失った土の間からマネルの死体が転がり落ちた。土をどかすのもおぞましい、このまま肥料になってもらおう。
「なんとかなったか。残りのマネルも……」
「アホかテメェ。死ぬほど疲れてんだろ? 見てりゃわかる。ちょっと休んどけ、残りは俺が潰す」
疲れてるのはお前もだろう、と伝え損ねた。言う前にバカは飛び出していく。あいつはそういうやつだ。少しくらいなら、まだ魔法も動かせる。
「
ささやかすぎる魔法だ。これ以上はもう少し回復してからでないと厳しい。せめてあいつの邪魔をしないように……。
そこまで考えて思考が完全に止まった。目にしたものを呆然と頭のなかで捉えるだけで精一杯だった。なんだ、これ。なんだこれは。どうなってる?
「クオリア!」
ちょうど一体、とどめを刺していた彼女は俺の声に顔を上げた。そして同様に呆然とその光景を見つめる。
周りの森から、続々とマネルたちが集まっているその光景を。