「マジでありえないんだけど!?」
「んなこと言ったって仕方ねえだろ、来るもんはよ」
「アル〜、もうやだぁ〜」
その光景を見て絶望的な悲鳴を漏らした茉紘が私にすがる。よしよし、と背中を撫でてやるとうう、とさらに唸った。呆れたクオリアは鉄パイプを担ぎながら肩を回している。
レイもだいぶ疲労が溜まっているのか、座ったまま動こうとしない。魔法だけ指先で動かしているようだ。
「アルミリア、今の位置は」
瞬時にその場の俯瞰情報を取得する。事前に配布されていたテュルキースバルトの地図と照らし合わせてここの位置を割り出した。
「森に入って一キロといったところでしょうか」
「……ここで食い止めなきゃすぐ下に降りるな」
「ええ、おそらく」
レイはため息と同時に立ち上がった。おそらく彼もやる気になったのだろう。その姿を見て茉紘も表情を少しだけ変える。クオリアは相変わらず、視線をマネルの群れから動かさなかった。
「作戦、指揮はアルミリアに一任していいか。もう頭を使う余裕すらない」
「構いません。データスキャン開始します」
頭の中でいつもの駆動音がなった。その場にいる三人のデータをスキャンする。クオリアはだいぶ、四肢に負担がかかっているようだが魔力は残っている。レイは満身創痍といった感じではあるが、すごいスピードで魔力が回復していっているのが見えた。この調子なら小規模の魔法を繰り出しながら大きな魔法一発程度なら使えるだろう。茉紘も、ここまでの移動を私がになったおかげか体力はだいぶ回復しているようだった。魔力は少し心もとないため、飛び回ってもらうことになるだろう。
できるだけ大量虐殺するための方法を考える。数十通りの作戦パターンが頭の中に浮かび、この場にいるメンバーの状態を加味して取捨選択していった。時間がかかればかかるほど、マネルは増えるだろう。おそらく一匹も残してはいけない。どうする、どうすればいい。
「おい、アルまだかよ。もう一匹ずつぶっ殺しに行くぞ」
「本当にアンタって馬鹿だよねぇ? 自分の体力が底なしだとでも思ってんの?」
「そんなもん気合いでどうにかなるだろ」
「クオリア、少し黙ってろ」
舌打ちが聞こえる。どうにもクオリアはここにいるとやりづらいらしい。スキャンモードにしたまま三人をもう一度見やると、先ほどよりも魔力が回復していた。……この作戦なら。
「作戦を説明している時間はありません。おそらくこれまでの戦闘状況を聞く限り一匹でも残っていれば仲間が呼ばれるでしょう」
未だぼやき続けるクオリアも、私の言葉にしっかりと耳を貸してくれていた。
「細かな作戦を説明している暇はありません。その都度私が指示いたします。一秒でも早くこの場にいるマネルを全滅させましょう」
今度は三人揃って首が縦に頷いた。この三人なら大丈夫、作戦成功率は九割を超すはずだ。
「ただいまより、マネル殲滅作戦を開始します」
背中の斧に手をかけた。