フェーズツー。
クオリアと交代させた茉紘を呼び寄せ、今出せる限りの最大火力の爆弾を作らせる。彼女の残っている体力と魔力では先ほどのような火力は出せないだろう。だいぶ時間もかかるかもしれない。
「できる限りやるけど、これ終わったら多分僕動けなくなるよ」
「一発で仕留めます。魔力を出し切ってください」
「アルってそういうとこあるよね……」
「なんのことでしょう」
ため息をついた茉紘の背中に手を置いた。可能な限り魔力を入れ込もう。爆発力は大きければ大きいほどいい。
レイはじっと動くクオリアを見ていた。マネルの上を華麗に飛び回るクオリアは先ほどの疲れを全く感じさせない。茉紘が皮肉って言っていた言葉も嘘ではないように思えてしまった。
ただの人間という種族には思えない。私は彼女の過去を知らないが、それでもその動きは人間離れしていた。飛び上がったと思えば握りしめた鉄パイプは無慈悲にマネルへのめり込む。人の形をしているそれがぐにゃりと曲がる様がスローモーションのように見えた。その反動で浮かんだ体の流れに任せ、強烈な蹴りを心臓部に食らわせた。飛んだマネルが木に激突して絶命するのを見た。
どうやらコツを掴んだのか、頸動脈を刺す作業も同時にこなしているようだ。彼女には練習というより実践で鍛え上げる方がいいらしい。動いていない残りの半分の刃を浮かばせて飛ばす。軌道を設定した魔法は、扱いにくいが魔力の漏れが最小限になるから便利だ。
「レイ、動きたいという顔をしています」
「当たり前だ。誰かに守られるのはサガじゃない」
「……待つということも覚えてくださると助かります」
少し驚いたようにこちらを見たレイに、やっぱり知らないふりをした。茉紘は着々と爆弾を作り続けているようだ。一つにまとめ上げるのは厳しいのか、二つに分けて作っている。
「茉紘、あまり無理は」
「無理じゃないよ。あともう少し。ていうか、さっきからそこでウズウズしてるもさもさ頭動かしてあげたら?」
無言でレイの方を振り返ると、彼はそれを肯定ととったのか立ち上がった。
「
魔力が全身にほとばしっている。表情はそれほど変わっていないが、その雰囲気からはようやく動ける、という喜びが見えた。
「
「レイ、あまり魔力を使いすぎないように」
「……わかった」
わかっていないような気もするが仕方ない。レイの魔力に気づいたのがクオリアが土の動きに合わせて動き始めた。その場の土を布にして風呂敷のようにまとめ始めた。
「
集まったマネルめがけてレイの作り出した土の塊が落ちた。スキャンモードに目を切り替え、レイの体内魔力を確認したがまだ大丈夫のようだ。
「できたよ、アル。ごめん、意識持たない」
茉紘の作り上げた火の玉がなんとか浮かび上がったまま、茉紘は倒れた。後頭部を打たないようとっさに茉紘を抱きとめる。微弱な魔力によって支えられていたその火の玉を自分の無属性魔法で浮かせた。
「お疲れ様です、茉紘。もう少しです」
レイが全ての魔法を止めたままこちらに視線を送っている。フェーズツー、クリア。次が最後だ。
「レイ、飛んでください」
「……は?」