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往復書簡三通目


拝啓 シュヴァリエ・エルベール様
 
 別に返事は期待してないけど、あんな短い文送るだけなら返事なんていいっつの。僕が好きでやってるだけなの。なんとなくアンタに、話しておきたくて。
 そろそろ定期試験の時期。なんか誘われたから僕も手伝ってるけど、僕が参加すると絶対合格しちゃうでしょ? 筆記サボるしかないかなって思ってる。で、今は魔法学のテスト中。もちろん僕がいるのは寮の部屋。
 あ、そういえば、一通目を送ったあとすぐに同室の子ができたよ。前回の手紙はそんな雰囲気じゃないからいっか、って思って書かなかったけど。
 すごいかわいい女の子。ベニクラゲの獣人だったかな。だいぶ長寿で末永く仲良くなれそう。女子トークが楽しいんだ。でもきっと、彼女も卒業しちゃうんだろうなとは思う。人の人生を止める権利は僕にないから、どんなに短いあいだでもあの子と関われてよかったって今から思ってるよ。バカだよね。
 アイゼンの爪痕は、一年生に深く残ったみたい。特にあのピンクゴリラ、顔つきが少し変わったかな。もしかしたら、あっちで何かあったのかもね。故郷が襲撃されるのは苦しいでしょう。たとえ孤児だったとしても、人と関わらずには生きていけないもの。
 蒼いのは相変わらず。アルも何も無いみたい、だけど、アルは仲良い人がいるのね。僕と同じくらいの身長の女の子だけど、よく二人でいるところを見る。ほんの少しだけ楽しそうだから安心して。
 みんな定期試験はちゃんとやるみたいよ。入学した時、進級した時に比べてだいぶ友達も増えたみたい。あの子達もきっと、卒業するんだね。
 
敬具 茉紘

アイゼンその後、定期試験の頃。

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