立ちはだかった優しい白
「うおおおおおおお!」
ちょうどよく積まれている瓦礫の上を飛んでいく。ゾンビドラゴンは何かに気を取られているようでこちらには気づいていない。振りかぶった鉄パイプに金属性の魔力を込めた。一発で仕留められるなんて思ってない。けれどなにかの力になれば。
狙っていた頭から少しそれ、背中の真ん中にそれは突き刺さる。嗚咽が漏れるほどの悪臭は気にしていられなかった。
「クオリア!」
じわり、じわりと足がしびれていく。なんだろうと思った次の瞬間、ゾンビドラゴンの体が勢いよく揺れた。振り飛ばされた俺の体は制御を失って空中に投げ出される。鉄パイプはしっかり握りしめていたせいでちゃんと手の中に残っていた。
スローモーションのように俺の体へゾンビドラゴンの足が迫った。やべえ。魔力は足りなくて浮遊はできない。そもそも間に合わない。受け身も取れていない今の状態でまともに食らえば、よくて腕や足の骨折、悪くてお陀仏だ。クソ、調子に乗り過ぎた。一人で接近なんてするべきじゃなかったのだ。目の端に知った顔が映る。ああ、アイツとアルか。あいつらの魔法もきっと間に合わない。
「……ほんと馬鹿だよねぇ」
声は耳元で聞こえた。首根っこが掴まれ、目の前に青い炎がちらつく。何が起きたのか一瞬わからなかった。そいつが掴んだおかげで直撃を免れ、炎がゾンビドラゴンの足先を燃やした。ギリギリだったせいで*にその足先がかすめ、真横一直線に傷が走る。バランスは取れなかったのか地面が近づいた。
顔から地面に突っ込むと同時に背中にかすかな重さを感じる。青い炎の主であることはわかっていた。
「ごめん。顔にまで配慮できなかったわ」
「クソいてぇ」
「ごめんって」
「とりあえずどけよクソチビ」
「はー、人が助けてやったのにその言い草?」
「
レイの土が迫っていたゾンビドラゴンの毒を弾いた。ようやくどいた茉紘を睨みながら体を起こす。
「戦闘中だ」
「……クオリアは属性の弱点を突けます。お二人に強化を施しますが……私に麻痺を治す手段はありません」
悔しそうに眉を寄せたアルミリアの言葉でようやく気づいた。足が動かしにくくなっている。先ほど感じたしびれはゾンビドラゴンの毒か。動かそうと思えば動くものの、思うようには動かせない。これじゃあ……。
「は? アンタ機動力なくしたわけ? どうやって戦うのよ!」
「うるせーな知らなかったんだからしょうがねえだろ!」
「おい!」
頭上に陰りを帯びた。俺たちが話してる間にもゾンビドラゴンは攻撃の手をやめない。逃げようとしても足が動かない。茉紘に大口を叩いても、確かに一番の武器である機動力を失ったらどうしようもないのだ。右手で鉄パイプを握りしめた。こうなったら体一つで……!
「シールド!」
目の前に立ちはだかったのは白い、白い大きな姿だった。