理想郷


甘やかされる話



1日kndくんに甘やかされる(?)話


10:00
朝、目覚ましが10時になった。8時に設定したはずの目覚ましが、2時間後になるなんてそんなはずない、携帯を確認すれば8時のアラームは止められていた。まさか、神田くんがやった???
考えているうちに部屋のドアが開き神田くんが入ってきた。
「あ起きたんですね、おはようございます」
「おはよう、神田くんアラーム止めた?」
「ええ、起きるには早いと思ったので」
「いつも、遅く起きたらだめって言うのに?」
「昨日までレポート頑張ってたからたまには」
なるほど、今日の神田くんはいつにも増して優しいようだ。
「ほら、起きてください貴方の好きな目玉焼きトーストできてますから」
「ん〜おきるぅ」
そういうと彼は私の手を握ってリビングへと歩いていく、やっぱりなんだか今日はいつにも増して優しい、というか…なんだろう甘やかしてくれる?
「はい、座ってください、あとこれ寝起きは冷えますから」
どこからともなく出てきた薄手のブランケットがかけられる。
「なんか今日…」
「今日?」
「なーんでもない、トースト美味しい」
「よかったです」
神田くんのトーストはいつも通り美味しい。


12:30
「眠いんですか?」
「ぅ〜…」
膝枕をされ、頭を撫でられれば誰でも眠くなると思う。しかも撫で方が絶妙すぎる。
「寝てもいいですよ」
「お昼は〜?」
「いい時間に起こしますから」
「ん〜」
いつもなら昼寝すると夜眠れないと言われるが快く寝かせてくれるらしい。なんなら寝かせにきている、子供を寝かせるようにトントンしてくるのだ。
「寝ていいの?」
「いいですよ、なんなら絵本…はないな本朗読しましょうか?」
頼んでもないのに、朗読をしてくれるらしい。
神田くんの声はとってもいいから眠くなる。心地がいい。
「読んでください…」
「わかりました」
神田くんの好きな本を神田くんの声で聞く、ずっと聞いていたいが、それに反するように瞼は落ちていく、起きる頃には何時になっているんだろう。


14:00
「起きてください」
ゆるく肩を揺すられ目が覚めた。
ゆっくりと体を支えられながら起こす、どうやらずっと膝枕をしていてくれたらしい。
「ごめん、足痺れたでしょ?」
「大丈夫ですよ、あんまり痺れないタイプなんで、それよりお昼なにが食べたいですか?」
「ん〜」
はっきりいって起き抜けであまりお腹は空いていない、軽いものでもいいかもしれないがそれでは彼が足りないだろう。
「遠慮せず言ってください」
「んん……おまかせで」
「おまかせですか」
「なんでも美味しいから」
「ん〜じゃあちょっと待っててくださいね」
「は〜い」
起きてすぐであまり回らない思考でキッチンに向かう彼を見る。すると手が伸びてきてわしゃわしゃと掻き乱した。
「ちょっと!」
「そんな、犬みたいにこっちを見ないでください」
「ひどくない…?」
「いい子で待て、しといてくださいね」

15:20
「あ、洗濯物」
家事は分担でやっているから、わたしは洗濯物を干さないといけない、完全に忘れていた。
「もうやってありますよ」
「えっ!?」
いったいいつの間にやったんだとベランダのカーテンを開ければそこにはちゃんと洗濯物か干してあり、なんなら乾いている気がする。
「いつのまに」
「朝から干して置きました」
「朝!?」
一体いつから起きていたんだ、呑気に10時まで寝てしまったのが申し訳ない。
「さ、貴方はもうすることがないです、だから私と一緒に映画でも見ましょう」
「う、うん」
確かにやることがない、あとは夕飯の支度ぐらいで、それも今やることじゃない。買い物も昨日済ませてある。
神田くんの言う通り、映画を見よう。


19:45
そろそろ夕飯の支度をしないといけない。
ずっと映画を見たり、溜まったドラマを消化したりしていたらこんな時間になってしまった。
「神田くん、ごはんなにがいい?」
「夕飯ならもう頼んでありますよ、そろそろ来ると思います」
「え?」
「出前を頼みました」
「いつのまに?」
「ドラマを見てる間に」
ドラマに夢中になりすぎて全く気が付かなかった、というか出前??なんでいきなり出前を頼んだだろうか。
ピンポーン
「来ましたね」
そう言って玄関に向かい、ものを受け取った彼が帰ってきた。
それは形を見るにピザのようで、付属にポテトの様なものを着いていた。
「さて、食べましょうか」
いつの間にか神田くんの手にはお酒が握られていた。テーブルの上にはお菓子やおつまみ、色んなお酒が置いてあり、私が好きなお酒が大半を占めていた。
「神田くん、今日なんでそんな…優しい?の」
「……一応甘やかしてるつもりなんですよ」
「え」
たしかに普段に比べて私を甘やかしている。分担されたものはちゃんとやるのがルールだし、起きる時間もちゃんと決めていたはずなのに、今日はやけに私に何もさせないし、好きな物ばかり作ってくれる。だが、ここまで甘やかされる理由が思いつかない。
「なんでこんな甘やかしてくれるの……?」
「……言ったじゃないですか、レポートと試験頑張ってたからって」

そう言えば朝、そう言われた気がする。
でも、それなら神田くんだってテストだったはずだし、私が特別な訳では無い。

「色々あったんじゃないんですか?言わないだけで、わかってますよ」
「……」
「辛いのを隠そうとしないでください、わかるんですからね」
「う、ん……」
「今度から遠慮したらダメですからね、なにかあって、きつい時は言ってください」
「うん、うん」
色々あった、だけど神田くんだって忙しいし、逐一言っていたら迷惑だろうと思ってしまった。
「ほら、お酒飲みましょう、ピザも冷えちゃいます」
「食べる、呑む」
「明日も休みですから、沢山呑みましょう」
「どっちが強いか勝負ね」
「負けませんよ」


1:00
「貴方が辛い思いをしてる時に、なにも出来ないなんてそっちの方が嫌ですよ」
そう出た言葉は彼女には聞こえていない。
テーブルに突っ伏して、酔って眠っている。その顔はこの前に比べて柔らかくて、幸せそうだ。
「貴方はそうやって、幸せそうにしてるのが1番いいですね、辛い顔は似合わない」
そのまま寝たら体に悪い。ベッドに運ぼう。
きっと朝起きたら「負けた!!」なんて大騒ぎするに違いない、そして二日酔いになっているだろうから、白湯を用意して、朝ごはんは優しい味の物にしよう。







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