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*目を覚ましたら未来だった!?ネタ

ヤバイ、遅刻する!目が覚めて、真っ先に飛び込んできたのは既に九時を指しているデジタル時計。

「なんで兄もパパもママも起こしてくれなかったの〜!?いやそもそも私アラーム設定してたよね!?着替えてランドセルもって……あれ?」

いつも次の日の着替えは、椅子の上に準備しているから、それを取ろうとした手が止まる。着替えが無かったのが理由だったし、それ以前に。

「私の部屋じゃない……?あとなんか視界がいつもより……高い??」

学校に遅刻してしまう時刻で慌てていてよく気が付かなかったがあきらかに自室では無かった。そしていつもより視界が高いような気がするのだ。

「鏡!鏡!」

近くにあった立ち鏡を覗き込む。

「んん……これ、私?」

そこに写った、恐らく自分であるはずの姿に思わず首を傾げる。なんというか「成長」しているのだ。鏡の中にいる、薄桃色の少し大きめのパジャマに身を包んだ女性はきっと自分であった。髪や身長は伸びているし、体つきも小学生のものより丸みを帯び、肉がついている。さらには自分の面影を残す女性の顔立ち。
見てみたところ、右手も右脚も義手義足であった。……何となく、性能はこっちのほうが高い気がする。

「いやいやいや私は結局何処にいるの!!??しかもなんか背とかむ、胸……とか成長してるし………。ううん……私は普通に寝てたよね………?まさかゴーハがなんか仕掛けてきたとか!?」

サッと身構えて当たりを見渡す。いつ床に穴が開いて落ちていくことになってもおかしくない。ネイルだったらしそうだ、なんてネイルへの酷い風評被害をもつ。

「朝から騒がしいね、どうしたのいちご」

一人であわあわしている彼女に、いつの間にかドアを開けて入っていたらしい男性から声をかけられた。
肩をびく、と震わせ、恐る恐る男性を見た彼女の口の形は情けなく開いた。

「え、え、ゆうが………?」

「まだ寝ぼけてるの?」

笑いながらコチラにまだ暖かな湯気を浮かべているマグカップを持つ男性は、やはり背は伸びていたし、体つきも男らしくがっしりとしていたが、王道遊我の面影があった。そっといちごの傍に寄ってきた彼はかがんで、顔を近づける。

「今日は折角の記念日だし、ゆっくりしたほうがいいかなって起こさずにいたんだけど……。寝過ぎちゃったみたいだね」

「きききき、きねんび……?」

遊我の、ただでさえいちごは彼の顔に弱いというのに、さらに大人びた顔を近づけられ、脳内は沸騰寸前であった。どこかから、ヤカンのピーピー泣く音さえ聞こえてくるようにさえ思う。

「うん?だって今日は僕達の結婚記念日でしょ。一年目は忙しくて、祝えなかったけど、二年目の今年こそは祝うんだってワクワクしてたよね」

「ふあ……うん……そうです……そうでした……」

わたしとゆうがが、恋人ではなく、ふうふ………?
脳が思考を停止する音を確かに聞いた気がする。そしてその後に、ふらりと自分の体が揺れて倒れていくのがわかる。ぼやけた視界に慌てて遊我らしき男性が手を伸ばしているのが見えて────……。






「え、私と遊我が夫婦……っていったあ!!??」

「いっだ!!」

衝動的に叫び、飛び起きようとしたところでいちご覗き込んでいたらしい兄とお互いの頭を凄まじい勢いでぶつける羽目になってしまった。ガンガンヒリヒリ痛むおでこを摩る。

「兄〜!なんで私の部屋に入ってるの!?」

「ごめんね、でもアラーム鳴ってるのになかなかいちごが下りてこないから様子を見に来たんだよ、おでこ大丈夫めっちゃ赤いよ!!??」

「あ、そうなの、心配してくれてありがとう。アラーム鳴ってたの?気が付かなかった……。おでこちょっと痛いだけだから平気。てか兄のおでこも赤いよ、ごめんね飛び上がって……。大丈夫?」

「ふふん、小さいいちごちゃんの頭突きで泣くようなお兄ちゃんじゃないぞ!!……ねえ、いちごちゃん」

「なあに?」

「さっき、夫婦とか言ってたけど、いちごちゃんもしかしてもう彼氏がいるの!!??お兄ちゃん何も聞いてないんだけど………!!!!」

「…………」

「いちごちゃん、おーい、いちご?どうかした??」

「う……」

「う?」

「うわあああああああああどうしよおお嬉しいけど!!嬉しいけど!!めっちゃ恥ずかしい夢見ちゃったよおお!!うう………遊我の顔、見れないよ……」
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