ジャンクフードが食べたい
※支部からの転載
※ユウリが登場します
「よかった、やっと強いメタモン捕まえたよ。だからお前は、要らないや」
ーー気がついたら捨てられていたメタモン中身人間でございます。
中身が人間がどういうことかというと、簡単に言えば転生である。元人間現メタモンと言った方が正しいかもしれない。
ただ最初から自分が過去人間だった自覚は全く無く、健気に育て屋でご主人を待ち続けるメタモンだった。もう1匹はすぐ入れ替わりで引き取られていくのに、自分はずっと預けられてる時点である程度は察していたけど、皆みたいにご主人と旅出来るって信じ続けていた。健気では?このメタモン??中身は私何ですけどもね!
捨てられたショックで泣き続け気を失い、回復したら前世を思い出していた。
あっちゃー!ここポケモンの世界やんけ!
しかもガラル地方とか新作じゃん!
人であった記憶は全て明確に覚えているわけでなく。親とか友人とか、存在は知ってるけど、顔とか朧気。メタモンになる前何をしていたかもさっぱり。ただ私はポケモンが好きだったようで大体のシリーズをプレイしていたせいか、それに関する記憶はそれなりにあった。
しかしガラル地方の情報はほぼ無い。事前情報ぐらいしかない。プレイする前にメタモンになってしまったのだろうか。
とりあえず、今日は寝床を探さねばなるまいな……。あとメシ。
私が捨てられたのはワイルドエリアのどこか。詳しい場所の名前は知らないけど。
ほかのポケモンたちに見つからないように動く。戦えるのかもハッキリしない状況で戦いたくないので!
きのみとか、落ちてないかな?こんだけ自然が広がってるのにきのみ無かったらさすがにキレるよ、私は。
おっ、いい感じに実ってる木、発見!
登……登れるのか?このスライムボディで??
ナメクジやカタツムリみたいに動いたらいけた。そもそもの移動がナメクジやカタツムリみたいなものだけど。
ただ脚、というか底?の部分にほこりがついてそうな……。ちょっとヌメってるからねメタモンは。すでに汚ねえボディであるけれども。どうにかして取れねえかなこれ。
ズズ……と木を登り、するとそこにはーー
「姉ちゃん、こっちにモモンのみあるよ〜」
「マジ?モモンのみ、めっちゃ好き」
どうも、メタモンもどきです。ワイルドエリアにだいぶ慣れてきました。
そしてヨクバリス、ホシガリス一家の一員になっています。どうしてこうなったかと言うと、木を登ったところがその一家の縄張りで、ボロボロだった容姿を見て心配してくれて事情を尋ねられ、「トレーナーに捨てられたので、寝床と食料を探しています」と伝えたところきのみを分けてくれた。しかも行く宛がないなら一緒にどうかと聞かれた。即座にYESと返した。だって他のメタモンあんまり見かけないし、どこに行けばいいのか分からなかったし。
ありがとうヨクバリスパパ&ママ……!!
今、一緒にワイルドエリアを散策しているのは息子さんのホシガリス坊やね。超可愛い。
一緒に暮らすから、同じ姿にしておくべきかと初めて「へんしん」をしてみたのだ。初めてするからドキドキしていたけど、あんまり思っていたほど変なことも無かった。
ポケモンの姿を真似できる(姿だけじゃなくてまるっきり)ことを聞いた坊やに『ボクになれるの!?なって!!なって!!』と言われたのでヨクバリスではなくホシガリスの姿になっている。
『やった!姉ちゃん!姉ちゃんって呼んでいい〜!?』スーパースイーティーマイリトルブラザーはお前に決定だよ!でも私が上でいいの?よし私が今日からお姉ちゃんだ!!(集中線)
メタモンに雌雄は無いが、前世が女だったからか兄より姉がしっくりくるので姉ちゃん呼び。
あ〜今日もうちの家族最高すぎるんじゃ〜!
さてそんなハッピーファミリーライフを過ごし早数年。(本当はもっと経ってるかもしれないが、よく分からない)
ワイルドエリアくそ危険じゃね?プリチーマイリトルブラザーと過ごしていた時は、弟がワイルドエリアに不慣れな私のために危なくない場所を選んで遊んでいたので全然気付かなかった。は〜うちの弟最高すぎじゃない?そんな弟はもうヨクバリスと進化し、可愛いお嫁さんと近所だが、違う場所へと越して行った。悲し……弟いない……。達者で暮らせよな!子供出来たら見せて。
話は変わったが、以前より一人で行動が多くなり改めてワイルドエリアの危険さを知る。
くそ強いのめちゃんこいる。剣盾プレイしてないから知らないけど、色々レベル混ざった感じなの?ここ?
悲しきかなバトルしたくない〜出来るか分からないもん〜などとのたまっていた私であるが、何度も戦わねばならぬ時が出来てしまい。
へんしん同様どうにかなってしまった。あとは中身が人間だったからなのだろうか、メタモンである私は少し特殊なことが出来ることが判明した。まあそれは追追。
そして目下の私の悩みは
「ジャンクフード食いてぇ!!!!」
これに尽きる。
人としての記憶はポケモンに関すること以外さほど無い、と言った私だが、食べ物に関しての記憶も残っていた。自分のことよりゲームと食べ物のことばっか覚えてんのどういうこと?名前思い出せないのに推しポケなら覚えてんのどういうこと?閑話休題。
ポケモンとして暮らしており、きのみしか食べていない私。くそヘルシーな生活してんな。
ポケモンフーズは育て屋にいた時、食べていたが美味しかった記憶がない。他の子たちは美味しそうに頬張っていたから、記憶がなくとも中身人間のメタモンにとって、受け入れ難い食べ物だったためだろうか。とりあえずポケモンフーズは要らない。
繰り返すが食べたいのはジャンクフード!
ハイカロリー!砂糖!!
ハンバーガーにかぶりつきたいし、炭酸ジュースを飲みたい。きのみも美味しいけど、濃い味を脂を私の舌は求めているのだッ!!
今日も今日とて、街に繋がるという門を恨めしく見て過ごす。近くに来たらかすかな人の声に、ほんのり美味しそうな匂いがするんだよぉ……。弟とか、パパさんママさんはそんな匂いしないって言うんだけどね……。えっ気のせい!?ジャンクフードが食べたすぎるあまりに!?
無事門を突破出来ても金がない私にはジャンクフードを食べる術がなく。(人間にへんしんすれば?って思ったでしょ?失敗したんだよね!)
門を越えた先にあるジャンクフードを想って今日も私は過ごしている。は〜ジャンクフード食いてぇなあ!!!
夜になりかけ始めたので慌てて住処に戻る。パパさんママさんを心配させたらアカンよ!
近々弟夫婦が遊びに来るみたいなことも言ってたからな……早く来ねえかな……。義妹も可愛いんだこりゃ……。私がメタモンって知ってるけど、彼のお姉ちゃんなら自分のお姉ちゃんでもありますねってふんわりスマイル。カーッ、きみカワウィーねー!!!プリチーマイリトルシスター任命!
なんて可愛い弟たちを思い出し、ニヤニヤしていた時であった。
「誰かっ、助けてください……!」
掠れかけた少女の悲鳴を聞いた。
やべえワイルドエリア。人もポケモンの縄張りに入ったり、気を損ねさせれば容赦なく攻撃されてしまう。ここに住み出してから、何度も見てきた。そして、放っておくことは、出来なかった。
私が見てきた襲われていたトレーナーたちは良いヤツのように見えた。皆瀕死状態のポケモンを庇うようにして逃げていた。心の内で誰ががそっと呟く。「自分もあんな風に、大切にしてもらいたかった。きっとあの人は自分を守るなんてこと、しないから」
本当にどうなるかは、分からないけど。そうだね、私は捨てられてしまったから。弱いから、捨てられる見捨てられる。トレーナーなんて、人とポケモンの友情なんて。そう思っていたのに、成り行きでトレーナーとポケモンを助け、自分もボロボロなのに、ポケモンをまず癒そうとした彼らを見て、羨ましいと思ったんだよね。またトレーナーの手持ちになることに恐怖はあるけれど、そんなポケモンを思いやれるトレーナーを助けたいと、私は思ったんだ。
兎みたいなポケモンを抱え逃げる茶髪の少女を見つける。そして彼女らを空から狙い、追いかけるハトーボーの群れ。ひこうタイプなら都合がいい。
私は頭のなかで、推しポケの種族値を思い浮かべる。HP90 A75 B85 C115 D90 S55……デンリュウ!!ホシガリスだった姿が歪み、そこに現れたのはデンリュウの姿となった私。囲まれてしまった少女とハトーボーたちの群れの間に割って入る。
「えっ、ポケモン……!?」
オラッくらいやがれ!!ほうでんじゃオラッ!!
といっても戦闘不能状態にするのは流石に可哀想なので威嚇である。でんきタイプはこうかばつぐんで、ハトーボーたちはビビって逃げていった。
そうこれが特別な私の力(?)である種族値を完璧に思い浮かべることが出来たらそれになれるというものなのだ!ただ目が点になっている。
何故だ推しポケの記憶は完璧ぞ??
種族値覚えてなくてもへんしん出来るかな〜出来たらチートじゃん?って思ってたけど出来なかった。チートは禁止ってこと??
レートにもうっすら手をつけていたおかげか、推しポケと1部の種族値は知っている。それで今までワイルドエリアのバトルを、タイプ有利をとることでいなしてきたのだ。ところでガラルにメリープいないの??
「ありがとう……貴方のおかげでやっとヒバニーも回復させることが出来たの!」
少女がにっこりヒバニーを抱きかかえ、見せてきた。ヒバニーもありがとう、と笑った。良かった良かった。てかこの子めっちゃ可愛いやんけ……!
「あの、あたし、貴方にお礼がしたいんだけど……!何かしてほしいこととか、ありますか?」
いやいや、何もしてもらわなくても構いませんよ………………待って、これってジャンクフードを食べれるチャンスなのでは……!?
そして私の、少女にこのジャンクフード食いてぇ思いが伝わるかどうかのドキドキジェスチャーゲームが始まるのであった……。