番外編 プールでサマー!
「あ、あつい…………………」
「ピッカ……………………」
猛暑を告げるテレビの中のニュースキャスターを思わず睨む。彼が悪いわけではないと知っているけれど、これだけ暑いと気が荒む。ピカチュウやナミ、クスネにエレズンも、みんな暑さで溶けかけてしまっている。ガラルでは例年以上の暑い日が続いていた。
バイバニラがパートナーの友人なんて、今にも死にそうなバイバニラを放っておけるか、こんな暑いとこ出ていってやる!とシンオウ地方のキッサキシティへ逃げていった。その街は彼女の実家があるらしいので、別名里帰りともいう。
運悪くエアコンは故障し、修理が完了するまであと3日は待たねばならない。ダンデくんに直るまでの間、彼の自宅で寝泊まりを勧められてたもののたった3日間だ、なんとかなると断った。本音を言えば、付き合って間も無いのに、彼氏のお家訪問なんてすれば私の寿命が縮む。若くして死ぬのは嫌だ。けれどこんなに暑いとは。ちょっとだけ後悔していたり。
アイスを食べようかと冷凍庫を覗いたが、そういえば昨日全て食べ尽くしてしまったことを思い出す。
買いに行くことも考えたが、外に出て買い物に行く気力も失う暑さ。
「そうだ!プール!プールしよ!!」
庭の木陰に物置から探し出したビニールのプールを置く。膨らませるのは大変だったけれど、皆と協力してやれば案外早く終わった。
熱を持った蛇口をあちちと捻る。ホースを水がどんどん通っていく。そしてマリルリやオクタンをはじめとした水ポケモンが描かれた可愛らしいビニールのプールにどんどん水が溜まる。私が子供の頃から夏はよくこれで遊んでいた。少しサイズは小さいけれど、ポケモンたちと足をつけて遊ぶぐらいならこれで充分なはず。
「よし、これぐらいでちょうどいいかな?皆、入っていいよー!」
私の声掛けを皮切りに、ピカチュウとナミが意気揚々とプールに飛び込む。ピカチュウは小さい時から私とこのプールで遊んできたし、ナミはサーフィンでぶいぶい言わせてきた波乗りピカチュウ。2体とも水で遊ぶことに慣れているのだ。
クスネはおっかなびっくりプールに前足をつけ、次第に楽しそうにプールに突っ込んでいた。うむ、プールは気持ちかろう?
まだ生まれたばかりのエレズンは、私に抱えられてプールに入ることに。生まれたばかりであれど、エレズンは電気タイプを持ち合わせたポケモンであり、水の冷たさにびっくりして放電し、皆を感電させてしまう危険もある。2体のピカチュウは大人だからある程度の電気をコントロール出来る。しかし、赤ん坊のエレズンにはまだコントロールが上手く出来ないのだ。
だからせめて私と一緒に入ることでエレズンに安心してプールを楽しんでもらおうと思った。一応、水の量は少なめにしてみたのだけど。
濡れてもいいようにTシャツにショートパンツにした。エレズンを抱き、プールに足を入れる。
「ひゃ〜、冷たい水が気持ちいいよ!エレズン、水浴びてみよう?」
水をすくってちろちろエレズンに掛けてやる。気持ちよかったのだろう、機嫌よさそうな鳴き声をしている。プールに直接浸かりたくなったのか、私の腕をたしたし叩くのでエレズンを下ろす。
水に驚くことなく、プールを楽しんでいるようだった。泳ぐほどのかさが無いため、他の3体は水を弾き合って遊んでいた。エレズンも巻き込まれ、顔に水飛沫がかかり、驚いた顔をしていたがすぐ楽しそうにふくふく笑っていた。そして4体で再びまた水の掛け合いをしだす。
「可愛い…………」
尊い、最高だ。ダンデくんとは違うベクトルだけど、私は自分の手持ちが大事で大好きで世界一なのだ。これ前も言った気がする。
即座にスマホを取りに部屋にとんぼがえり。
可愛い手持ちたちをカメラに収めねばならない、早急に。ぱしゃぱしゃぱしゃ、いかに容量が少なくなろうと連写する手を止めない。手持ちたちが可愛いところを撮り漏らすなんて、絶対したくないので。
心ゆくまで写真を撮って、お気に入りの1枚をSNSにあげる。
『プール、楽しい!手持ちが可愛い!』
そう一言だけつける。見よ、この子たちのかわいらしさを!
友人たちの可愛いやら良い顔してんね、などの反応をせやろとニマニマしながら見ていると、ピカチュウに脚に水を掛けられた。
「冷た、なに!?」
腹を抱えて笑うピカチュウたちを目にする。
よしよし、そっちがその気ならこっちにだって手はあるのだ!
「やってくれたな……?必殺!ホース水鉄砲!」
ホースから勢いよく飛び出す水、小さく出来る虹のアーチ。ずるいぞと抗議の鳴き声が聞こえて。仕返しに4体が一気に水を掛けてくるものだから、私も応戦してビショビショになってしまった。
けれども楽しくて、ビショビショの顔を皆で見合わせていつの間にか笑いだしてしまっていて。良い思い出になったな、なんて思ったのだった。
尚、SNSの投稿を見たダンデくんが楽しそうだな!オレたちも一緒にいいだろうかとリザードンに乗って上空から飛び込んでくるまであと30分。