番外編 キュートなベビー

エレズン。いつの間にかナミが持ってきていたタマゴから産まれた子。家に帰した方がいいと常々思っていたのだけれど、ジョーイさんに相談したところナミがタマゴを拾った地域近くにエレズン・ストリンダーの生息地は無く、またエレズンのタマゴを落としたという連絡も無かったと言う。トレーナーか、それとも親ポケモンに捨てられてしまったのでしょうね、ジョーイさんがそう話すのを聞きながら私は思わずエレズンを抱きしめた。

産まれたばかりのエレズンは最初に産まれて初めて見た私を母親か何かと思っているようで、私のブラウスを握りしめて離さなかった。
頬をやわやわつつけば、キャッキャッ笑うエレズン。こんな可愛い子を捨てるなんて。もしかしたら、どうしても手放す必要があったのかもしれないけれど。
ナミが見つけなかったらこの子は1人で産まれていたのかもしれない、いや、産まれる前にタマゴごと食べられてしまうなんて最悪なケースもあった。
自然の摂理と言えばそうと尽きるけれど、やっぱりこの子が無事に産まれてきてくれて良かったと思う。
ジョーイさんに検診をしてもらい、「初めての赤ちゃんポケモン入門」という本もプレゼントされた。
ピカチュウをピチューのときから面倒見ていたけれど、ピチューの時は生まれたばかりではなく、それなりに成長していたので、本当に産まれてすぐのポケモンなんて触れ合ったことはゼロだった。そのため有難く本と助言を受け取った。

ポケモンセンターからタクシー乗り場まで、ピカチュウを連れてエレズンを抱きながら移動する。
もちろんエレズンもモンスターボールに入れて移動することは出来るのだけれども、せっかくだし外の景色を見させてあげたらどうかとジョーイさんにも勧められた。モンスターボールからも外の景色を見るのは不可能じゃない、でもボールから出して外に慣れるのも大事だと思っているんだよね。
ただエレズンは毒と電気タイプ。幼いうちはまだ自分のパワーの使い方に慣れておらず、電気を漏らしてしまったりぴりぴりする毒素をよく出してしまうから、タオルを引いたバスケットでも用意したほうがいいらしい。まだ準備してないから今日は抱っこだけども。

タクシーのドライバーさんに家がある街の名を告げる。
ちなみに私の住む場所は、実家がある所と似て田舎。どれくらいか田舎かというとポケモンセンターが無いくらいには。まあ、故郷よりはポケモンセンターがある大きい街が近いからそこまで不便ではない。
ただ私はあまりにポケモンバトルが下手で、余計にポケモンたちに怪我を負わせるのも嫌だったので、タクシーで移動している。無料なのも、タクシーをよく使ってしまう理由だったり。ただタクシー生活を送っているとポケモンだけでなく私が運動不足に陥ってしまうので注意が必要……。ピカチュウだけじゃなく私も太ってしまう……。

「じゃあ、家に着いたらみんなで散歩に行こっかピカチュウ、エレズン。お留守番のナミやクスネを連れてね!」

「チャア〜!」

エレズンは首を傾げていたが、はしゃいでいるピカチュウを見てにっこりしていた。
私たちは高くから見える街や道路の風景を見るのが好き。エレズンが高さに怯えてしまうかもしれないと考えたけれど、窓にほっぺたをむい、とくっつけて案外楽しそうにしていた。タクシーのドライバーさんが面白がって少し遠回りをしてくれるほどには、エレズンはやっぱり楽しそうに見えたようだった。

「エレズン、これから宜しくね」

貴方は他に何が好きなのかな。
私やピカチュウ、ナミは甘いものが好きなんだ。クスネは渋いものが好き。
あと私の好きなことだけどダンデくんのバトルビデオをよく見返すの。エレズンはポケモンバトルに興味を示したりするのかしら。

時間はたっぷりあるから、一緒に色々発見出来たらいいな!