001とパートナーとウクレレと

それは不運に不運が重なったのだ。
たまたま仕事の関係でエンジンシティにて滞在していた時のこと。
いい天気だなとピカチュウが弾くウクレレを聞きながらのんびりする時の幸福感よ!
街にいるポケモンも、近場のワイルドエリアに住んでいると思われるポケモンたちもちらちらと様子を伺いながら、ピカチュウのウクレレを楽しんでいるのを見てホッコリしていたのだが。

ピカチュウのウクレレが奏でる音色をどうやらホシガリスが気に入ってしまったようで、パッとウクレレを奪い、物凄い速さで逃げてしまった。
それをピカチュウ、私で追いかけていたのだけど、ホシガリスがぴょーんとワイルドエリアに飛び込んでしまったのだ。それを追いかけていたピカチュウは勿論。

「えっ、ピ、ピカチュウ!?」

私は足を止めてしまった。トレーナーでない私はワイルドエリアに入れないのはもちろん、ワイルドエリアに入るなんて無茶をするなと両親、従兄弟や周囲の人に常々言われていたので思わず。(従兄弟はガラルに来たことないのにね)

でも、ピカチュウを放っておく訳にはいかない。
あのウクレレは、まだ警戒心が強くてなかなか家に馴染まなかったピチューが、従兄弟から送らてきた写真に写るウクレレを見て興味を示したので、私が初めてプレゼントしたもの。
そこからだんだんピチューと私は、まあ色々あったけど、仲良くなっていった、そのきっかけになった思い出のもの。取り返さなくちゃ。そう思い、いざ!ワイルドエリアに!とワイルドエリアへ繋がる階段を駆け下り、ピカチュウを追いかけようとしたのだが、

「ちょ、ちょっと待って!キミ、どうしたんだい!?」

「へぶ!!」

階段を降りた先にいた、黄色い服に身を包んだお兄さんに腕を捕まれそのまま滑ってコケて顔をぶつけた。そんなことある??痛いんだが!?

「ワイルドエリアはバッチを持ったポケモントレーナーやスタッフであったり、ちゃんとワイルドエリアに備えたような人でないと、危険なんだ。何かあったの?」

「わ、私のピカチュウが!ウクレレ追いかけて、奥に走っていっちゃったんでず……」

年甲斐もなく涙が出てきた。どうしよう、ピカチュウが死んじゃったら。
泣き出した私とそれを慰めるお兄さんに気付いたらしいリーグスタッフさんに話をすれば、

「さっき何かを持ったホシガリスを追いかけていったのが君のピカチュウか……。自分が代わりに追いかけますから、ここで待っていてください」

と走って行ってしまった。
リーグスタッフさんがピカチュウを連れて来るまで私はお兄さん(キャンプキングさんというらしい)に介抱されていた。みんなやさしい……ガラルあったけえよ……と後から思う。その時は赤ちゃんも黙る勢いで泣いてた。やばかった。

そしてしばらくたったあと、リーグスタッフさんの後ろをついて歩いてくるピカチュウがいた。

「ピカチュウ〜!良かった、無事だったんだね……!」

ピカチュウに飛びついてぎゅうと抱きしめる。小さくて、体に慣れた体温が私を安心させた。よかった、1番の友達を失う羽目にならなくて。

「ピカァ……」

「どうしたの、ピカチュウ?まさか怪我でもしたの!?」

違う違うと言うように首を振るピカチュウは、そっと一部が破損してしまったウクレレを私に差し出した。

「ウクレレ、壊れてる……」

リーグスタッフさんが言うには、彼が追いついたとき、ホシガリスとピカチュウはウクレレを取り合っていた。そしてはずみでウクレレはぽーんと遠くに投げ出され、居眠りをしていたイワークにぶつかった。ぶつかり所が悪かったのかイワークは暴れだし、何とかイワークを落ち着かせ、ウクレレを回収したはいいものの、ウクレレは壊れてしまったという訳だ。