降って湧いた1の休日に
「少し休んだらいかがですか」
「え」
なんていきなり言われ。突然出来てしまったオフの日。
オーナーに就任したばかりだし、バトルタワーのことはあるし。決して休む暇はない……と思っていたのだが。キバナや幼なじみのソニア、弟のホップや新チャンピオンに休めと言われてしまった。ムゲンダイナの件でおった傷も治ったことだし、仕事量は多くとも負担にはなっていないのだが。
「上の立場の方が休まなければ、それにつく方々も休みにくい雰囲気になってしまうものです」
そうだろうか、オレは鍛えているし、疲れたのなら休んでもらって構わないのだが。
「はいそうですか、と簡単にはなりません。それに、疲労は気付かないうちに溜まってしまうものですから」
そういうものか。
「ええ、そういうものです。だから」
ーー少し休みましょう、ダンデさん
など色々な人に言われてしまったのなら、オフを受け入れない理由も無くなった。
さてどうオフを過ごそうか……とリザードンと悩む。
「……そうだ、久々にキルクスタウンの宿を取るのはどうだろうか」
「ばきゅあ!」
キルクスタウンにあるポケモンと一緒にはいれる露天風呂付きの宿。
最初は知る人ぞ知る、隠れスポットのような場所だったのだが、インタビューで話題に出しそれからしばらく人気が続き、予約が取れなくなってしまった。あそこは部屋数が少ないからな……。
とてもいい場所だし、露天風呂は大きいから体格のあるポケモンでも楽しめるぞ!オレのポケモン達も大好きなんだ、と紹介した結果、自分達がいけなくなるとは……。
しかし最近はすこしなりを潜めたから是非来てくださいね、と懇意にしてくれている女将から連絡が入った。急だが大丈夫だろうか……と心配したが杞憂だったよう。
「久しぶりだな、温泉は!」
嬉しそうに吠えるリザードン、カタカタと揺れるモンスターボールをひとなでして思わず笑った。
キルクスタウンへ向かう途中、ワイルドエリア上空を見渡す。ロトムスマホの情報から、何体ものダイマックスしたポケモンが暴れているとあったので心配になったのだ。リーグスタッフから救援の要請がなかったので、恐らく無事だったのだと思いたいが……。一応見回りをしておく。
ダイマックスポケモンをうまく落ち着かせられたね、はい一安心と終わらせることが出来ないことをオレはよく知っている。
周りの野生のポケモンたちも不安や興奮で気が立っていることが多く、普段よりもワイルドエリアの危険度は増す。
休めとは言われたが、ワイルドエリアを見回りするぐらいは許してもらえるだろう。
先程ワイルドエリアを見回りを決めたオレの判断は良かったと思う。
ナックル丘陵でユキノオーに襲われる2人を発見したときそう思った。吹雪の中、少年を抱えピカチュウを肩に乗せた女性が逃げ回っていた。
バトルをしないということは、ピカチュウのレベルがユキノオーに太刀打ち出来ないからか、それとも彼女がトレーナーでなく、バトルに不慣れであるからか。コート1枚、小さな鞄。あまりにもワイルドエリアに行くには足りない装備。
後者の可能性が高そうだ。
(いや、考えるのはあとだ。彼女も限界が近いだろう、はやく助けなければ!)
「リザードン、だいもんじだ!」
なお、この後助けた女性のピカチュウが見慣れたウクレレを所持しており、リザードンと驚いてしまったのは仕方がないと思う。