校舎内に響くチャイムは授業終了のお知らせとお昼休みに入ったお知らせでもあり、学園内が次第に賑やかになる。

私も一仕事を終えてお昼にしようと思い、ぐっと大きく伸びをした。
ずっと座りっぱなしでパソコンと向き合ってたから体が固くなってるし、何よりお腹がペコペコだ。

鼻歌を歌いながらお昼の準備をしようとした時、ガラっとドアが開く音がした。

「クロハ先生、一緒にお昼食べませんか?」

「あ、ユノ君。もう体調良いの?」

「はい。…クロハ先生の愛の力のお陰です。」

やって来たのはユノ君で、入って来るなり早々、冗談を言えるとなるとどうやら体調は良くなったらしい。

追い返すのも可哀想だし、休憩スペースのテーブルに移り私とユノ君はそこで一緒にお昼を食べることにした。
二人分のお茶を入れて、お弁当箱を開ける。
両手を合わせていただきます、と呟いたけど隣から視線を感じた。

ユノ君が私のお弁当をめっちゃガン見してる。
彼の今日のお昼ご飯はパンなのか、テーブルの上に置かれているけど視線が気になり食べづらい。

「…えっと…一つ何か食べる?」

私のお弁当を物欲しそうに見ているもんだから苦笑しつつ試しに聞いてみれば驚いた顔をした後、「卵焼きが食べたい。」と答えたユノ君。

お弁当の蓋を皿の代わりにしてそこに卵焼きを移してあげようとしたけど袖を引っ張られて見てみれば口をあーんと、開けて待っていた。

これはもしかして…食べさせて欲しいってこと?

「クロハ先生?」

「へ?あ、ごめん…!卵焼きね。」

慌ててお箸で卵焼きを掴み、ユノ君の口元へ持って行くとパクっと一口で頬張った。
モグモグと食べているユノ君をちょっとドキドキしながら反応を待っている私にふわりと笑いながら言った。

「…ん、美味しいです。」

「ほ、ホント…?良かった〜。誰かに料理食べてもらうなんて久しぶりだからちょっとドキドキしちゃった…!」

「クロハ先生良い嫁になると思います。…俺の。」

「やだなぁ〜そんなに褒めても……え!?」

おだててくるから照れ隠しに冗談でも言って返そうかなと思ったけど最後の一言にバッとユノ君を見ればパンを頬張って食べていた。

でもその頬は少し赤く染まってるのを見てこっちまで赤くなってしまう。
…照れるなら言わなきゃいいのに。
そう心の中で思いながら私も卵焼きを一口食べたらこんなに甘く作ったっけ?と思うほど甘く感じたのだった─…。

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