perverted play U


「親父、何だって?」
「暇だったみたい。又掛かって来るかも知れないから、受話器外しとくよ。」
本当は繋がる電話、キースは俺を疑うと云う事を知らない。俺が黒だと、赤でも云えば、キースは頷き、信じ、赤を黒だと認識する。御前が黒だと思うなら、例え俺の目には赤だと見えても黒と為る。
キースはそんな男だ。
バスローブの紐を巻き直したキースは酒を一口飲み、ベッドに向かおうとした。
「待って。」
ハリーの息遣いが聞こえて来そうだった。
「明日スーツ着るんだけどさ、タイは此れで良いと思う?」
壁に吊したスーツ、ハンガーからタイをするりと引き、キースに見せた。
「グレーのスーツに、ネイビー一色のタイ?駄目駄目、御前って如何してそう、センスが悪いんだ…」
此の色のスーツなら此のタイにしろ、とクローゼットを開いたキースの後ろに周り、肩を触った。
「嗚呼…、良いね。」
「スタイリスト雇ったら如何だ。」
「考えとくよ。」
耳に囁き、キースの手からタイを抜き、判らない様に腕を背中に向かわせた。
「ハニー、愛してるよ。」
背中で合わさる腕を握り、キスをし乍ら空いた手でバスローブの紐を解いた。合わさるバスローブは開け、其の侭、バスローブが開いてゆく感覚に気を取られて居る内に、手首と肘をタイと紐で結んだ。
「縛るなよ。」
「逃げられそうだから。」
「俺がベッドから逃げた事あるか?」
「ベッドでは、無いね…?」
電話の置かれ机、其処にキースを押し遣り、座らせた。
「ベッドが目の前にあるんだぞ?」
そんな言葉は聞かず、足を開かせた。俺は椅子に座り、キースを愛した、丹念に。ずるずると下品に音を出し、少しでもハリーに自分達が何をして居るか伝えた。
きつく結んで居た唇は、目元と陰部が膨れ始めた頃にはだらし無く開き、熱い息を漏らし始めた。時折聞こえる微かな声、息に似た唸り声、其れに重なった受話器からの金属音。
成程、美女にブロージョブさせるらしい。グッジョブだ、ハリー。
「ヘ…ンリー…」
「駄目だよ、イったら。」
「ん…」
胸の突起は固く窄まり、ほんのり汗ばんだ肌には鳥肌が立つ。足元から顔を離した俺は、小さな乳首を唇で挟み、舌全体でべったりと舐めた。
高く声を漏らし、背中を仰け反らせて呉れた御蔭で、通話口がはっきり現れた。
「乳首舐められ乍ら扱かれるの好きだろう?」
ハリーに状況を教えるのも、結構面倒な事だと知った。
「ん…」
「云って、じゃないとどっちか止めちゃうよ?」
「好き…」
快楽に貪欲なキース。堪らなく可愛い。
腰が段々と浮き始め、危うく後ろに倒れそうに為った。慌てて手を離し、机から下ろした。
押し付ける様に顔を机に付け、丁度真上に通話口があったのに口元が歪んだ。突き出た臀部を撫で、叩いたら気持良いだろうな、と云う衝動に駆られた。其れ程キースの臀部は固く、張りがあった。
割れ目の頂からローションを垂らし、冷たさに臀部の筋肉は締まり、鳥肌を立たす。ぬるりとした塊が間を通り、臀部同様に固く窄まる袋に流れた。下に垂れる前に、袋ごと前に手を滑らせた。
猛る熱さにローションは温く為り、テノールが口から漏れ始めた。
記憶する息子の声とは違うのにハリーは気付いて居るだろうか…?
此れが、俺の愛するキース。
「愛してるよ、キース。」
「ヘンリー…」
ローションに濡れる其処を、舌で愛撫した。ローションと唾液で丹念に其処を解し、扱いた。拘束されて居る事に興奮を感じたのか、キースの物は何時に無く固い。ベッドが目の前にあるのに態々机で興じる、と云うのも興奮を呼んだのだろう。
此れで、ハリーが聞いて居ると知ったら………羞恥と興奮で如何か為って仕舞うのでは無いだろうか。
陰茎から手を離すと何の躊躇いも無く腹部を打った。ローションに濡れた手を胸に遣り、固く窄んだ其処で往復させた。
「ヘンリー…っ、頭が茹立ちそうだ………っ」
「駄目だよ、未だ。うんと可愛がってあげる。」
キースに云い乍ら、ハリーに云って居た。
受話器から聞こえた、硝子の割れる様な音。ワイン飲み乍ら、耳ではしっかり俺を求めるのに美女に咥えさすとは趣味が良い。けれど、勢い余って手から滑り落ちた…?
大丈夫、君の事もきちんと愛してあげる。
「早く。」
「何…?」
「Hurry,Say that you love me...」

I love you so much,Honey...

キースの口と受話器からの言葉は同時だった。
受話器からの言葉はキースには聞こえて居なかったと思う。其の肉厚な柔らかい唇の隙間から愛してると出た瞬間、ローションを塗りたくった自身を、愛してるの返事を、下の口に伝えた。
腰を奮わせ咆哮し、横に向けて居た顔を、真っ直ぐ向かした。顎で顔を支え、真っ正面には通話口がある。知って居るんじゃ無いかと疑う程、キースの動きは電話に向いて居た。
「ハニー?一ヶ月振りの俺は如何だい?」
ぎりぎり迄引き抜き、押し付ける時尻を叩いた。びく、と叩かれた方の足が跳ね、そそり立つ物から涎を散らした。閉じた口から垂れる唾液と俺を求める声、唾液で顎が滑るのかキースは歯を食い縛って居た。
此れでは何の為に電話の近くに居るか判らない、腕を解いて遣ると机にしがみ付いた。
「如何してキースの中は、こんなにも俺に絡み付いて来るんだろうね?」
淫乱なの?と強く尻を叩くと、悲鳴とも取れる喘ぎ声を彼に聞かせた。
「ヘンリー…痛い…」
「喘いでる癖に。」
「違う…」
「そう?其の割には此処、強く為ったみたい。」
先だけ埋め込んだ其処を撫でた。
悪魔はそそり立ち、キースの中を凌辱した。其れが当然だと、悪魔は唸る。
其れに応えるキースの口からは、短い快楽の言葉が出た。
悪魔は、確かに俺の中に存在する。
机を掴むキースの手を又後ろで縛り、髪を引き、顔を通話口に向けさせた。片方の手は机を押す様に、キースの身体を腰で押し付けた。
「ねえ、キース…」
「ん…?」
「恥ずかしくない?」
「確かに…」
悪魔が牙を剥き出し、涎を垂らした。
ころりと机に転がる受話器をそっと、俺の舌を捩込ます様に耳に付けた。
「ハリー…」
通話口に囁いた。
『最高だよ…ヘンリー…愛してる…』
鼓膜を凌辱したハリーの声に、キースの身体は泡立った。がたがたと震え出し、羞恥と混乱の余り言葉も出ない。
「繋がってたよ、ずっと。」
「あ…、嗚呼…………」
溢れた涎は机に淫靡な水溜まりを為し、恥ずかし気も無く欲を吐き出した。
「何で…」
「ハリーが望んだから。」
羞恥は快楽を孕み、涙を産んだ。涎と涙で折角のキースの顔はぐしゃぐしゃに汚れた。でも、其れは俺にとって、堪らない快楽を呼ぶ潤滑油と為る。もっともっと汚して遣ろうと、押さえ付ける手に力を込め、悪魔を奥に捩り込んだ。
ハリーの声を聞いた瞬間から、キースは思考が停止して居る、しこたま動かされる事に声を荒げるだけの塊と為った。
抵抗は、見られない。
キースの耳元の近くに通話口を寄せ、口を寄せた。
「愛してる、愛してるよ、ハニー…」
同時に囁いた。
受話器からは熱い吐息が聞こえ、片方の耳にはキースの咆哮が聞こえる。
「ハニー…」
受話器を机に放り、只管キースを貪った。仰向けにしたキースを強姦紛いに抱いた。
「ヘンリーっ、ヘンリー…っ。もっと…もっと目茶苦茶にして…」
父親の声を忘れたいのか、或いは俺からハリーの存在を消したいのか、自分にだけ集中させる様な素振りで、唇を食われた。
言葉は要らなかった。
言葉の変わりに舌を絡ませ、汗で身体を張り付かせた。
解いた腕はしっかり俺の首に絡まり、腰を動かす。さあ聞け、と云わんばかりに声は大きく為る。余りの振動に机に置かれる本が床に羽を広げ、蝶の標本に見える。
本の題名は――罪と罰。キースの一番好きな本だった。
貼付けにされた蝶は、藻掻く。
「君の罪はなんだい、キース。老婆(父親)と居合わせた少女(姉)を殺したかい?」
「良いや…。娼婦…御前に惚れた事だ、ヘンリー…」
「自首をする気はあるかい?」
いいや、無い。
一生此の罪を背負うと、欲は腹部に羽撃いた。キースに与えた罰はしっかりゴム製の袋に収まり、悪魔は大人しく為った。
首から離れた腕は計算したのか、電話のレバーを落とした。通話終了の音が、悪魔の吐息の様に繰り返えされる。
「ベッドに行くかい?」
「其れは、眠る為か?」
「いいや。」
机からキースを掬い上げ、其の侭ベッドに沈んだ。西班牙の愛を食べた悪魔に、終わりは無い。




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